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『オリ・マキの人生で最も幸せな日』

『オリ・マキの人生で最も幸せな日』

原題:Hymyileva mies

 

2016年製作/フィンランド・ドイツ・スウェーデン合作映画/上映時間:92分/PG12/2020年1月17日日本公開

 

監督:ユホ・クオスマネン

出演:ヤルッコ・ラフティ

   オーナ・アイロラ

   エーロ・ミロノフ ほか

 

2016年・第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でグランプリを受賞したラブストーリーです。

1960年代のフィンランドで、大切な試合に臨むボクサーが恋に落ちる姿が描かれます。

 

あらすじ

 

1962年夏、フィンランドヘルシンキ。パン屋の息子でボクサーのオリ・マキ(ヤルッコ・ラフティ)は、世界タイトル戦でアメリカ人のチャンピオンと戦うことになる。試合に向けて準備を進め、減量に取り組む彼に国中の期待が集まる中、オリはライヤ(オーナ・アイロラ)という女性に恋をする。

シネマトゥデイより)

 

世界タイトル戦を前に恋に落ちてしまったボクサーの実話をもとに描き、2016年・第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で作品賞を受賞したフィンランド発のラブストーリーです。

監督は、ショートフィルムなどを手掛け、本作がデビューとなるユホ・クオスマネン。

 

Amazonプライムビデオにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

間もなく見放題終了とのことと、ボクシングを題材にした映画は傑作が多いので、期待を込めまして今回は本作を選びました。

 

1962年夏、パン屋の息子でボクサーのオリ・マキは、世界タイトル戦でアメリカ人チャンピオンと戦うチャンスを得る。

 

準備はすべて整い、あとは減量して集中して試合に臨むだけというタイミングで、オリはライヤに恋をしてしまう。

 

フィンランド国中がオリに期待し、周囲が勝手に盛り上がる中、オリは自分なりの幸せをつかむためにある行動に出る・・・。

 

フィンランドで初めてボクシング世界戦が行われた実話を基に製作されたラブストーリーです。

’60年代の空気を再現するため、全編モノクロ16ミリフィルムで撮影されたそうです。

カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門で作品賞を受賞。

「ある視点」がどの視点なのか分かりませんが・・・。

 

Amazonプライムビデオは力を入れたボクシング世界タイトル戦の配信が終わったからか、今月いっぱいくらいで一斉にボクシングを題材にした映画の配信が終了してしまいます。

『ロッキー』シリーズ全作、そのスピンオフの『クリード』2作(『クリード』は3作目公開が控えているので、もう少しやってもらいたかった)、そして、本作同様モノクロームで撮影された『ロッキー』のプロデューサー&監督:マーティン・スコセッシ&脚本:ポール・シュレイダーロバート・デ・ニーロ主演の大・大・大傑作『レイジング・ブル』が終了いたします。

本当はこちらを紹介したいくらいの気持ちでしたが、40年以上前の映画ですし、すでに10回は観ているので、未見の本作を選びました。

 

・・・なのですが、本作は『ロッキー』や日本の傑作アニメーション作品「あしたのジョー2」(「1」ではありません)のような熱いボクシングシーンはありません。

どちらかと言うとラブストーリーがメインの映画です。

 

ですが、普通ラブストーリー、ラブロマンス映画はまず出会いのところから描き、そこから恋愛へ発展していく姿を映し出すのですが、このオリ・マキさん、すでにこの女性と半同棲的な生活をしているところから物語が始まります。

正直、ラブロマンス映画としても中途半端な感がありました。

 

減量のシーンは”ボクシング映画”的で良かったですが(「ジョー2」同様、減量にはサウナは欠かせないみたいですね)、それ以外はあまり”ボクシング映画”と言った感じはありません。

ただ、計量パスせず、プロモーター(だと思う)人が「パンツ脱げ」と言ってそうしたら、すんなりパス。

「どんだけー」(←ikkoさん風)では無く、「それだけー?」と思ってしまいました。

 

フィンランド国民、そして、この映画を鑑賞している人たちの期待のタイトルマッチもあっさり。

当たり前ですが、試合後リング上で彼女の名前を叫ぶ・・・などと言うシーンもありません。

 

ボクサーの人が幸せになってはいけないなどとは思いませんが、プロボクサーは世界一幸の薄いプロスポーツ選手で、多くの代償を支払うことで、逆にチャンピオンという栄光をつかみ、巨万の富を得る・・・ところがカッコいいと私は勝手に想像しておりました。

 

サーカスの見世物小屋の女性と自分の姿をダブらせるところ、ラストシーンがチャップリンの『モダンタイムス』みたいな感じのところは良かったかな?と思っております。

ただ、オリ・マキさんは”フィンランドの種馬”・・・にはなれませんでした。

 

※『ロッキー』、「あしたのジョー2」の結末に触れます。未見の方はご注意を。※

 

 

 

 

 

 

 

 

『ロッキー』(第1作)、「あしたのジョー2」の主人公は世界チャンピオンになれず物語は終わっております。

しかし、最後のシーン、2人は惨めな敗者では無く、そこには勝者以上の”成し遂げた”男の姿があったように思います。(「ジョー2」は謎多き終わり方なので何とも言えないところもありますが)

 

この映画は敗れたボクサーが愛する女性と再スタートするところがクライマックスと言えるかもしれません。

その日が『オリ・マキの人生で最も幸せな日』なんでしょうが、やはり物足りなさが残る出来でした。

ボクシングかロマンスか、どちらかでいいので胸ときめくものがあれば良かったのですが、どっちつかずな感じで残念でした。

16ミリで撮影されたモノクロ映像は良かったです。

 

カンヌの人はどこが良かったのかな?