『ゲット・アウト』
原題:Get Out
2017年製作/アメリカ映画/上映時間:104分/G/2017年10月27日日本公開
監督:ジョーダン・ピール
出演:ダニエル・カルーヤ
アリソン・ウィリアムズ
ブラッドリー・ウィットフィード ほか
『パラノーマル・アクティビティ』シリーズなどを手掛けてきたプロデューサー、ジェイソン・ブラムが製作に名を連ね、アメリカのお笑いコンビ「キー&ピール」のジョーダン・ピールが初メガホンを取ったスリラーです。
第90回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞の4部門にノミネートされ、脚本賞を受賞。
あらすじ
ニューヨークで写真家として活動している黒人のクリス(ダニエル・カルーヤ)は、週末に恋人の白人女性ローズ(アリソン・ウィリアムズ)の実家に招かれる。歓待を受けるが、黒人の使用人がいることに違和感を覚え、さらに庭を走り去る管理人や窓に映った自分を凝視する家政婦に驚かされる。翌日、パーティーに出席した彼は白人ばかりの中で一人の黒人を見つける。古風な格好をした彼を撮影すると、相手は鼻血を出しながら、すさまじい勢いでクリスに詰め寄り……。
(シネマトゥデイより)
恋人の実家を訪ねた黒人の青年が、そこで想像を絶する恐怖を体験するスリラー映画です。
低予算ながら全米で大ヒットを記録し、第90回アカデミー賞において、最優秀脚本賞を受賞しております。
Amazonプライムビデオにて鑑賞。
映画館以来の鑑賞になります。
間もなく見放題終了とのことで、もう一度観ておこうと思い鑑賞いたしました。
アフリカ系アメリカ人の写真家クリスは、白人の彼女ローズの実家へ招待される。過剰なまでの歓迎を受けたクリスは、ローズの実家に黒人の使用人がいることに妙な違和感を覚えていた。
その翌日、亡くなったローズの祖父を讃えるパーティに出席したクリスは、参加者がなぜか白人ばかりで気が滅入っていた。そんな中、黒人の若者を発見したクリスは思わず彼にカメラを向ける。しかし、フラッシュがたかれたのと同時に若者は鼻から血を流し、態度を急変させて「出て行け!」とクリスに襲いかかってくる・・・。
映画館で鑑賞したときは、全米で大ヒットしているホラー映画くらいにしか思っておらず、人種差別問題を根深く描いた作品だとは思ってもおりませんでした。
ホラー映画、スリラー映画として観ると、悪い出来ではありませんが、それほど大絶賛する傑作とは思えず、ガッカリ感が残りましたが、今回、未だそう言ったアメリカに根づく人種差別問題を踏まえて2度目の鑑賞をいたしました。
※かなりネタバレを含む内容になります。※
劇中多く登場するセリフ「オバマの3期目」。
アメリカ初の黒人大統領誕生し、アメリカ合衆国は変化したのだろうか?
アメリカに住んでいるワケではありませんので、あくまでも推測ですが、それほど劇的に変化は無かった。
むしろ、トランプ大統領の誕生で、よりマイノリティにとって不安な時代が到来してしまったと言えるのかもしれません。
そんなトランプ政権の時代に誕生した『招かれざる客』的ストーリー。
白人のガールフレンドの自宅に招かれた黒人青年は、逆に手厚い歓迎を受け、むしろ戸惑いを覚えてしまう。
ガールフレンドの自宅で働くメイド役の女優さんの演技が絶品。
あまりの不気味さに逆に笑ってしまうほど。
催眠療法と言った禁煙治療。
これが後の伏線につながるという映画の作りも上手いと感じました。
なぜ、映画館で鑑賞したとき、この映画の面白さ、上手さに気がつかなかったのか?
それは、この映画に居心地の悪さを感じるからだと思いました。
これは監督の狙いであり、映画の根本的なもので結末を知るまで、この居心地の悪さは続くことになります。
それを知った2度目の鑑賞では、その居心地の悪さを生み出す映画の作りの上手さとアイディア満載のシナリオに感銘を受けることになります。
黒人青年の身体能力の高さへの劣等感からの恐るべき犯罪を描いておりますが、もの凄い斬新なアイディアかと言うと、ちょっと違うかもしれません。
わが国・日本が生んだ偉大なる漫画家・石ノ森章太郎先生の代表作『仮面ライダー』。
主人公の本郷猛は、頭脳明晰・身体能力抜群という完ぺきなところを狙われ、悪の組織・ショッカーに囚われ改造手術を受けてしまう。
本作でも黒人を拉致する人たちを”結社”と表されておりました。
そう思うと、監督はどこかで『仮面ライダー』を観ていた可能性があるのでは?と思ってしまいました。
『ロボコップ』のように石ノ森章太郎先生の作品、ハリウッド映画でパクられれることありますからね。
監督からすると「オレのオリジナルだ」と怒るかもしれませんが・・・。
本作公開後も白人警官の黒人への暴力事件などが発生しております。
人間の持つ差別意識というものを消し去らない限り、このような悲劇が続くと思うと切なく感じます。