『劇場版ラジエーションハウス』
2022年製作/アメリカ映画/上映時間:115分/G/2022年4月29日日本公開
監督:鈴木雅之
出演:窪田正孝
本田翼
広瀬アリス ほか
CTやMRIなどの画像診断を通じ、病を見つける放射線科が舞台の漫画を原作にした医療ドラマシリーズの劇場版です。
ドラマ版から引き続き監督を『HERO』シリーズなどの鈴木雅之、脚本をドラマ「ナイト・ドクター」などの大北はるかが担当。
あらすじ
甘春総合病院の放射線技師・五十嵐唯織(窪田正孝)は、大好きな放射線科医・甘春杏(本田翼)のアメリカ留学が間近に迫り落ち込んでいた。そんなとき、杏の父で無医島だった離島で島民を診療してきた正一(佐戸井けん太)が危篤との知らせを受け、島へ向かった彼女は父の最期をみとる。父の患者たちを案じ島に1日残る杏だったが、原因不明の感染症が発生し、さらに大型台風が島を直撃。やがて杏の苦境を知った唯織は、大切な仲間を守り苦しむ島民を救うため、ある決断を下す。
(シネマトゥデイより)
原作・横幕智裕、漫画・モリタイシの同名コミックを実写化したテレビドラマ「ラジエーションハウス」の劇場版です。
主人公の放射線技師・五十嵐唯織と仲間たちが、離島にまん延する未知の感染症に立ち向かう姿が描かれます。
主人公を演じる窪田正孝をはじめ、本田翼、広瀬アリスらドラマ版の顔ぶれが集結し、劇場版新キャストとして山崎育三郎、若月佑美、高橋克実、原日出子、キムラ緑子が出演。
BDにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
最近、本作のことでは無いと思いますが(現在放映中のドラマ?)「本田翼の演技が酷く観ていられない」なる記事を読み、この方の演技を観たことが無いので(『天気の子』だけかな?でもあれは”観た”では無く”聴いた”ですね)どれくらい酷いのか興味を持ち(持つなよ)今回は本作を選びました。
ドラマ版は当然未見です。
72時間—。
それは、人の生死を分ける時間。 甘春総合病院の放射線技師・五十嵐唯織は落ち込んでいた。大好きな甘春杏が、放射線科医としての腕を磨くため、ワシントン医大へ留学することが決まったからだ。(写真はテレビドラマ版)
「72時間を切ってしまいました」 お別れまでのカウントダウンを胸に刻む唯織のことを、ラジエーションハウスのメンバーは元気付けようとするが、唯織への秘めた想いを抱える広瀬裕乃だけは、自らの進むべき道について悩んでいた。
そんな中、杏の父親・正一が危篤との連絡が入る。無医島だった離島に渡り小さな診療所で島民を診てきた正一だが、杏が父のもとに着いてほどなく「病気ではなく、人を見る医者になりなさい」との言葉を残し息を引き取る。 生前、父が気に掛けていた患者のことが気になり、島に一日残ることにする杏。
生前、父が気に掛けていた患者のことが気になり、島に一日残ることにする杏。 そこに大型台風、土砂崩れ、そして未知の感染症が襲いかかる。 遠く離れた地で杏が孤軍奮闘していることを知った唯織は、大切な仲間を守るため、苦しむ島民を救うため、ある決心をする。 8人の技師たちが選んだ未来とは。 「別れ」の時刻が近づいている・・・。
観終わって、いろんな方のレビューを拝読いたしました。
高評価連発でビックリ!
私は鑑賞後、あまりの頭痛に、それこそ病院に行って放射線技師の方に脳の(私はバカなので脳はありませんが・・・)検査をしてもらいたくなりました。
かなり辛口レビューになります。
気分を害するかもしれません。
フジテレビ系の医療ドラマは、古くは田宮二郎さんの「白い巨塔」、そのリメイクの唐沢寿明さん主演版。
そして、私的にガッキー出演ドラマ最高傑作と思っている「コードブルー ドクター・ヘリ緊急救命」(ただしSEASON.2まで)と優れた作品が多いです。
それらの高評価を受けて、柳の下の・・・を狙った作品が数多く作られます。
私も2020年にカテーテル手術、そしてバイク事故・全治8ヶ月と病院にお世話になることが多かったので、少し病院の姿が知ったうえで観て、「これはおかしい」と思われるようなドラマも増えてきたように思えました。(量産し過ぎが原因でしょう)
ヘンなドラマだな~と思ったのが、石原さとみさん主演の病院薬剤師を扱った作品。(タイトル忘れちゃった)
ネタ切れからか病院薬剤師という職業をテーマにしたのは悪くも問題もありませんが、私も数回入院しましたが、病院薬剤師の方にお会いするのは入院初日だけで、いつも飲んでいる薬を教えただけ。
それくらいしか患者と接点の無い病院薬剤師が担当していた患者の臨終に立ち会ったり、これは観ていた医療機関の人からクレームが来た描写なのですが、さとみさん演じる主人公が患者に「あなたの病気は治りますよ」というシーン。
このようなことを患者に言える権限があるのは担当の医師だけです。
薬剤師より患者に近いところにいる看護師ですら、このようなことを言う権利はありません。
この描写のあったエピソードを最後に、ドラマはあまりに荒唐無稽でつまらないので視聴をやめました。
本作のテレビドラマ版はさとみさんのドラマより先の2019年に第1シリーズ。
同年、特別編が製作され、2021年に第2シリーズが放映されております。
わたくし、まったく存じあげませんでした。(汗)
ドラマ版は観ていないので、何も言えませんが、今回の劇場版もおかしな描写の連発でした。
マイクで「ぶっ殺すぞ!」とわめく命を助ける立場にいる女性放射線技師。
これから初めてのカテーテル手術を担当する放射線技師に「失敗したら、お前は人殺し。そして患者の家族から訴訟を起こされる」などととんでもないことを言うお仲間。
飲酒運転が原因で衝突事故が起こります。
被害に遭ったのは夫婦で、奥さんは妊娠中で出産間近でした。
しかし、奥さんは助かる見込みが薄く、病院側は助けられる命からと飲酒運転をしていたドライバーを優先してしまいます。
怒った旦那さんは手術を担当する医師を果物ナイフで脅します。(なんでそんなものが病院で手に入ったのか?)
「警察に通報するな」という旦那さん。
しかし、なぜかその様子がネットで配信され、テレビでも報道されてしまいます。
当然、警察が踏み込んできます。
そこで病院側は猿芝居でごまかし(これが本当にくだらなかった)、旦那に主人公が「奥さんは意識はありませんが、まだ聴覚は活動している可能性があります。奥さんは助かりませんが、何とかお腹のお子さんを無事出産させたいので、何でもいいので声を掛けてあげてください」と言います。
奥さんとのステキな思い出がいつも雨の日だったことを思い出した旦那が、主人公に「今夜の天気は雨でしょうか?」と訊きます。
台風が接近していたので、「雨だと思います」と答える主人公。
・・・今の放射線技師、気象予報士もやらなきゃいけないんですね。(爆)
奥さんの名前を連呼し「雨だよ」と話し続ける旦那さん。
無事、帝王切開で赤ちゃんも産まれます。
で、美談で終わらせてしまう、このエピソードですが、当然腑に落ちないところが。
警察に飲酒運転のことは話した病院側ですが、立てこもりをして医師に刃物で脅す行為をした旦那は無罪放免って、あり得ないでしょう。
立派な犯罪です。
それに飲酒運転で事故って、その段階で警察が関与すると思うのですが・・・。
これはコメディ?と思ってしまう、摩訶不思議な描写のオンパレード。
父親の危篤で離れ島に帰ってきた本田翼さん演じる杏。
台風一過のあと、島で未知の感染症が起こり、ほかの医療機関から助けが来ないことで孤軍奮闘する杏。
「病院関係者に感染させるワケにはいかない」ともっともな意見を言う髙嶋政宏さん演じる医院長(だと思う)。
それをムシして島へ乗り込む主人公たち放射線技師のチーム。
これもヘンな描写だな~と思ってしまいました。
フジテレビは何で「コードブルー」というドラマを作ったのですか?
ドクター・ヘリというものの存在を伝えるためじゃなかったのですか?
それに今は自衛隊も医療チームを設けております。
本田翼さんの演技ですが、この作品に関しては「観ていられない」ほどの酷さは無かったと思います。
ただ、この作品に出演している俳優さんの演技は、ほぼ全員平均点を大きく下回るものでした。
それもあってか、そんなに目立たなかったのかもしれません。
実は広瀬アリスさんの演技を拝見するのも本作が初めてです。
妹さんの作品は多く観ておりますが・・・。
姉妹で女優で思い出されるのが『風と共に去りぬ』のオリヴィア・デ・ハヴィランド(姉)と『レベッカ』のジョーン・フォンテイン(妹)。
って、例えが古すぎる。
おふたりともオスカーを受賞している姉妹ですが、先に受賞したのが『断崖』(1941)の妹・フォンテイン。
そのとき、同部門にノミネートされていた姉(アカデミー賞も罪なことをする)に握手を求めたとき、先を越されたことへの怒りからそれを拒否したエピソードが残っております。
すずちゃんはすでに完成形に近いと言える高い演技力ですが、お姉さんは正直まだまだだと思います。
ですが、お姉さんも伸びしろが無いとは思えないので、今は差がありますが、いい作品との出会いなどで、その距離も縮まるように思います。
本作で特に残念に感じたのが終盤、主人公の窪田正孝さんに告るシーン。
もっとロマンチックな雰囲気を出して欲しかった。
病院で患者や仲間たちと接するのと同じトーンだったのが、これが現在のお姉さんの実力かな~と思ってしまいました。
このようなこと、私が説明するまでもありませんが、放射線技師は正確にレントゲン写真やMRIなどを撮影することが仕事で、そこから先、病気を見つけ治療の方針を決めるのは医師です。
放射線技師が、まるで万能なドクターのような誤解を招く描写は控えるべきだったように思いました。
出演者全員(特に浜野謙太と八嶋智人)残念な演技を披露しておりましたが、エキストラの方も、・・・まぁ、今のご時世でお弁当しか出ない仕事で「頑張れ」と言うのは酷だと思いますが、正直、そう言いたくなりました。
感染症で腹痛を起こしているお子さんがお腹を押さえて笑っていたシーンが印象的でした。
まあ、こんなお粗末なシナリオじゃ笑ってしまうのも当然ですが・・・。
このシナリオでいい映画になったらミラクルと思える作品ですが、映画の酷さは許容範囲ですが、今回のコロナ禍の中、懸命な活動をしている医療関係者たちを滑稽に描き、笑いもののようにすることは絶対あってはならないと思いました。
和久井映見さんはいつ”バルンガ”になってしまったのでしょうか?(それは言ってはいけません!)