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『クーリエ:最高機密の運び屋』

『クーリエ:最高機密の運び屋』

原題:The Courier

 

2020年製作/イギリス・アメリカ合作映画/上映時間:112分/G/2021年9月23日日本公開

 

監督:ドミニク・クック

出演:ベネディクト・カンバーバッチ

   メラーブ・ニニッセ

   レイチェル・ブロズナハン ほか

 

ドクター・ストレンジ』などのベネディクト・カンバーバッチ主演による実話を基にしたサスペンスです。

核戦争を回避するべく奔走する男たちの葛藤と決断がスリリングに描かれます。

カンバーバッチは製作総指揮も兼任しております。

 

あらすじ

 

1962年10月。ソ連キューバに核ミサイル基地を建設していることが明るみになり、対立状態にあったアメリカとソ連は衝突寸前に陥る。このキューバ危機を回避するために、アメリカ中央情報局CIAとイギリス情報局秘密情報部MI6はスパイの経験など皆無だったイギリス人セールスマンのグレヴィル・ウィンにある諜報(ちょうほう)活動を依頼する。それはモスクワに飛びソ連参謀本部情報総局GRUの高官と接触を重ね、彼から得た機密情報を西側に持ち帰るというものだった。

シネマトゥデイより)

 

アベンジャーズ/エンドゲーム』のベネディクト・カンバーバッチ主演のサスペンスです。

セールスマンだった男が諜報活動に携わることになり、アメリカとソ連が全面衝突寸前に陥った「キューバ危機」を回避しようとする様が描かれます。

監督は舞台演出家のドミニク・クック

 

Amazonプライムビデオにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

Amazonプライムビデオでは間もなく見放題終了とのこと。

Netflixでも配信しているのですが、同日にこちらも配信終了。

カンバーバッチの映画なので、できれば「観ておきたい」と思い、今回は本作を選びました。

 

1962年10月、アメリカとソ連、両大国の対立は頂点に達し、「キューバ危機」が勃発した。世界中を震撼させたこの危機に際し、戦争回避に決定的な役割を果たしたのは、実在した英国人セールスマン、グレヴィル・ウィンだった。

 

スパイの経験など一切ないにも関わらず、CIA(アメリカ中央情報局)とMI6(英国秘密情報部)の依頼を受けてモスクワに飛んだウィンは、国に背いたGRU(ソ連参謀本部情報総局)高官との接触を重ね、そこで得た機密情報を西側に運び続けるが・・・。

 

学校の授業ではおそらく教えてくれない20世紀の歴史で欠かすことのできない1960年代初頭の米ソ冷戦下の「キューバ危機」。

その核戦争を回避した事実の裏側に存在したイギリスの普通のセールスマンの男とソ連の密告者を描いた作品です。

 

カンバーバッチはいつも通り顔が長い・・・ことを書きたいのでは無く、演技力すばらしいものがあります。

本作では製作総指揮も兼任しており、この役への意気込みを感じます。

10キロ以上の減量と丸刈りになるところは役者根性のようなもの(英国的な表現ではありませんが)を感じます。

 

ソ連核兵器の情報を手にしたいアメリカ・CIAとイギリス・MI6は諜報員を一般人に見立てるより、一般人を諜報員にする方が成功の確率が高いと思い、スパイとしてごく普通のセールスマン、クレイヴィル・ウィンを選び、情報を得ようとします。

当然スパイの活動など経験の無い彼は依頼を断りますが、CIAの女性から「家族が核兵器で死ぬかもしれない。学校のシェルターの図面を見たがまったく役に立たない。もし、そのときが来たら『あのとき、やっていれば』と後悔するわよ」と(上手いけど嫌な)説得されてしまいます。

 

依頼を受けたウィンは、国に背いたGRUの高官ペンコフスキーとの接触します。

序盤は派手さがまったく無い、リアリティにこだわった作りで、間違っても『007』のようなスパイ映画を期待してはいけません。

 

CIA、MI6の人間から「モスクワではすべてKGBだと思え。ホテルマン、バーのカウンターの男、全員だ」と言われ、常に自分が見張られていて、いつスパイという正体が発覚してしまうというのでは?という緊迫感がありました。

 

このペンコフスキーは英語の堪能なのですが、ほかのソ連の人物はちゃんとロシア語を話しておりました。(ロシア語は”ピロシキ”しか知らないので推測ですが)

最近のアメリカ映画はようやく、この辺りがリアルになりました。

以前はどの国に行っても英語を話すのが当たり前だったのですが・・・。

 

当然家族にも言えない機密事項なので、頻繁にモスクワへ行くご主人の行動に奥方が「不倫をしている」と疑う(過去に1回浮気が発覚した前科があったので)ところなど、ちょっとしたこのなのですが、こういう描写も映画にリアリティを与えていると思いました。

 

核戦争が勃発してしまったら、それこそ何万人、それ以上の人間の命が失われてしまいます。

それを阻止するためなら、仕方ないこととはいえ、一個人の人命は切り捨てる非情さが無ければいけない。

 

そうした各々の状況の中、物語は残酷な展開に進んでいってしまいます・・・。

カンバーバッチの圧倒的な演技に感動いたしました。

 

イギリスもアメリカもソ連も大虐殺など望んでいない・・・。

敵対し合う、まったく違う環境の国で生まれたウィンとペンコフスキーとの間に友情のようなものが芽生え、お互いがモスクワでバレエを観て涙するシーンはとても印象的でした。

 

とても見応えのある作品で、この2人がいなければ、本当に「第3次世界大戦」が起こっていたかもしれないと思うと、この名も無き英雄に敬意を払わなければと思いました。

 

ただ、映画の作りとしては、似たような題材のスピルバーグの2015年の『ブリッジ・オブ・スパイ』と比較してしまうと、スピルバーグの演出の手腕から、そちらの方が映画的面白さはあったかな?と思いました。

 

映画は本当に歴史を伝えて教えてくれると感じさせてくれる1本でした。