『哭悲／THE SADNESS』
原題：哭悲 The Sadness
2021年製作／台湾映画／上映時間：100分／R18+／2022年7月1日日本公開
監督：ロブ・ジャバズ
出演：レジーナ・レイ
ベラント・チュウ
ジョニー・ワン ほか
人間の凶暴性を助長するウイルスが蔓延した台湾を舞台に、地獄絵図と化した街で再会しようと奔走する男女の運命を、容赦ないゴア描写で描いたパニックホラーです。
監督は本作が長編デビューとなるロブ・ジャバズ。
※R18+指定の映画です。エロ＆グロ満載の作品で、そのような写真、動画をこれから掲載いたします。苦手な方はここでスルーしてください。またネタバレ全開です。これからご覧になられる方もご注意を。※
あらすじ
謎の感染症“アルヴィン”に対処してきた台湾。感染しても風邪に似た軽い症状しか現れないことからアルヴィンに対する警戒心が緩んでいたが、突如ウイルスが変異する。感染者たちは凶暴性を増大させ、罪悪感を抱きながらも殺人や拷問といった残虐な行為を行い始める。こういった状況の中でジュンジョー（ベラント・チュー）とカイティン（レジーナ・レイ）の二人は離れ離れになる。感染者の群れから逃れて病院に立て籠もるカイティンからの連絡を受け取ったジュンジョーは、たった一人で彼女の救出に向かう。
（シネマトゥデイより）
人が感染すると凶暴化する未知のウイルスがまん延した台湾で、決死のサバイバルに挑む女性の姿を描くホラー映画です。
シッチェス・カタロニア国際映画祭のMidnight X-Treme部門に出品されております。
Netflixにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
上映時間が短め、たまには日本語、英語以外の作品がいいかな～と思い、この台湾映画と出会って（選んで）しまいました。（フランスかイタリアにすれば良かったかな？）
しつこいですが、かなりグロ写真掲載いたしますので、苦手な方は絶対控えてくださいね。
謎の感染症に長い間対処し続けてきた台湾。専門家たちに“アルヴィン”と名付けられたそのウイルスは、風邪のような軽微な症状しか伴わず、不自由な生活に不満を持つ人々の警戒はいつしか解けてしまっていた。ある日、ウイルスが突然変異し、人の脳に作用して凶暴性を助長する疫病が発生。
感染者たちは罪悪感に涙を流しながらも、衝動を抑えられず思いつく限りの残虐な行為を行うようになり、街は殺人と拷問で溢れかえってしまう。そんな暴力に支配された世界で離ればなれとなり、生きて再会を果たそうとする男女の姿があった。
感染者の殺意から辛うじて逃れ、数少ない生き残りと病院に立て籠もるカイティン。彼女からの連絡を受け取ったジュンジョーは、独りで狂気の街を彷徨い始める・・・。
「地獄があるとしたら、この映画のことだ」なる賞賛（？）の声もある、台湾製ホラー映画です。
とにかくグロいシーン満載。
・・・だけかと思ったら、途中からエロも加わり、とんでもない地獄絵図を見せてくれます。
力を入れたグロ描写のヴィジュアルは頑張っていたと思います。
ですが、ストーリーの方は本当に陳腐でガッカリ。
2021年製作なので、コロナウィルスに便乗した設定に、台湾と仲のよろしく無い中国をある意味ディスる（この辺りは他国の問題なので、あまり口出しは良くありませんが）映画として、理屈抜きで鑑賞するのがベストかな？
謎の感染症を引き起こすウィルスが発生。
・・・にもかかわらず、呑気にマスクもせず地下鉄で通勤している本作のヒロインとほかの乗客の皆さん。
ヒロインが偶然隣の席に座った中年男性から「何を読んでいるの？」、「どこへ行くの？」、「君、可愛いね」、「ボクと契約して魔法少女になってよ・・・じゃない、ボクと友だちになろうよ」なる、とんでもないジジィのナンパと言うかセクハラに遭い大ピンチ。
（ここは後ほどまた触れます。ジジィの左手のところにあるものに注目）
その車内でサングラスをした男性が突如ナイフと取り出し、隣にいた男性の首を刺します。
1人の人間から出る量とは思えない大流血で車内は血まみれ（ツッコんではいけない）。
その返り血をあびてしまった人もウィルスに感染し、凶暴化してしまいます。
実はこのシーンは一番グロさ満載でメインイベントなんですよね。
ジジィのナンパに嫌気を指していたヒロインが席を譲ったちょっと太めの女性と一緒にパニくります。（当然ですが）
この太めの女性がどうしても渡辺直美さんにしか観えず（本作を観たYouTuberの方やレビュー書いている人も同じことを言っておりました）、「ついに渡辺直美さん、海外作品進出だ」と大喜びしたら、違う人でした。（涙）
隣の席のジジィも感染。
すると、このときのために用意していたとしか思えない（外は雨降っていなかったので）持っていた傘で渡辺直美さん似の女性の左目を潰してしまいます。
う～ん、ウィルスに感染したジジィに攻撃されたのだから、渡辺直美さん似の女性も感染すると思うのですが、なぜか感染いたしません。
するとヒロイン大好き、ブスが嫌いなナンパジジィは傘から斧に武器を持ち替え、執拗に2人を追いかけてきます。
公開から40年以上経っておりますが、未だオマージュ（パロディ？）として使われるスタンリー・キューブリックの傑作（原作者は嫌っておりますが）、「凄いな～」と別の映画を褒めることに。
2人が降りた駅が偶然にも大学病院前で、これをご都合主義と呼ばないで何と呼ぶ・・・と思ってしまう展開に。
2人は難を逃れ助かったと思ったのですが、病院内にも感染者が忍び込み、瞬く間に感染者が増大していきます。
テレビで国民に警告を呼びかける放送が始まるのですが、すでに軍の人間に感染者が潜んでおり、手に持った手榴弾を政府のお偉いさんの口に投入。
頭部だけ爆発するという、これも40年くらい前のデヴィッド・クローネンバーグの傑作のオマージュ（パロディ？）。
監督がクローネンバーグのファンとインタビューで答えております。
こんな近くで手榴弾爆発したら、軍人も吹っ飛ぶと思うのですが、それも無し。（ツッコんではいけない）
具体的な説明は一切無いので、観た感じの推測ですが、このウィルスに感染した人、とりあえず意識はしっかりしていて、今まで観たゾンビ映画のような感じではありません。
つまり、人間の持つ理性より内面に潜んでいる本能がむき出しになるような効果があり、感染者は己の欲望のまま、殺戮を繰り返し、はたまた性欲も増強され3P、4Pでえっちするなどの行動（お子ちゃまには観せられません）に出ます。
血まみれの感染者が全裸でそのような行為をするのですが、映画館で観た人のレビューですと、「画面いっぱいモザイクで全然観れなかった」とありましたが、Netflixは一切モザイク無しでした。
Netflix Japan、偉い！（そんなことで褒めてもな～）
ナンパジジィから逃げたヒロインが偶然、このウィルスを1年前から研究していた科学者に助けてもらいます。（ツッコんではいけないと思いつつ、かなりのご都合主義だ）この科学者は「君は返り血をあびても感染しない。何か抗体を持っているのかもしれない」と言ってヒロインを調べようとします。
観ていた自分もそれが一番知りたいと思っていたのですが、科学者の人も感染者の襲撃に遭いえじきに。
3Dプリンターで作った拳銃も大して役に立たず・・・。
結局ヒロインが感染しない理由が不明のまま、映画は終劇。
なんと投げやりな終わり方なんだろうと思ってしまいました。
この映画が言いたいことは分かります。
人間、と言いますか現代人の持つ心の闇。
地下鉄車内で大虐殺が行われているところをスマホで写真や動画撮影に没頭する人たち。
車内で迷惑ナンパするジジィを含め、そのような人間の方がウィルスに感染してしまったモンスターのような者より本当は恐ろしい・・・みたいなことを描きたかったのだと思います。
ヒロインも正直、性格悪かったですし。
台湾の映画は、あまり観る機会が無いので、観光映画の部分も少し期待していたのですが、地下鉄車内と病院のシーン（これはセットですね）がほとんどなので、それも無し。
閉鎖された場所にイカれた斧持ったジジィ・・・。
やはりキューブリックは偉大だ！
※本当に苦手な方はご覧にならないでくださいね。※
