『RUN/ラン』
原題:Run.
2020年製作/アメリカ映画/上映時間:90分/G/2021年6月18日日本公開
監督:アニーシャ・チャガンティ
出演:サラ・ポールソン
キーラ・アレン
パット・ヒーリー ほか
娘を溺愛する母親の愛情が狂気へと変貌するサイコスリラーです。
『search/サーチ』のアニーシュ・チャガンティが監督・脚本を担当。
母親に疑念を抱く娘をオーディションで選出されたキーラ・アレン、娘への愛を暴走させていく母親を『オーシャンズ8』などのサラ・ポールソンが演じております。
あらすじ
生まれつきの病気で車椅子生活を送る17歳のクロエ(キーラ・アレン)は、大学への進学を望んでおり、自立しようと頑張っていた。そんな中、自身の体調や食事を細やかに気遣い、進学の夢を後押しする母親ダイアン(サラ・ポールソン)が差し出す薬が危険なものであることを知り、彼女は母に不信感を抱く。クロエは過剰なまでに自分を管理するダイアンから逃れようとするが、その先には想像を絶する試練と、思いも寄らぬ事実が待ち受けていた。
(シネマトゥデイより)
生まれながらの病気で車椅子生活を余儀なくされている娘と、彼女に病的な愛情を注ぐ母親の危うい関係を描いたサイコスリラーです。
監督は、パソコン画面上でドラマが展開するという新機軸で注目を集めたサスペンススリラー『search/サーチ』のアニーシュ・チャガンティ。
Amazonプライムビデオにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
あまりのんびり映画を観ている時間が無かったので、上映時間で選びました。
せっかくのバレンタインデーなのでロマンチックなものが良かったかもしれませんが、それは次回以降と言うことで・・・。
ある郊外の一軒家で暮らすクロエは、生まれつき慢性の病気を患い、車椅子生活を余儀なくされています。しかし常に前向きで好奇心旺盛な彼女は、地元の大学への進学を望み、自立しようとしていました。
そんなある日、クロエは自分の体調や食事を管理し、進学の夢も後押ししてくれている母親ダイアンに不信感をを抱き始めます。ダイアンが新しい薬と称して差し出す緑色のカプセル。
クロエの懸命な調査により、それは決して人間が服用してはならない薬でした。なぜ最愛の娘に嘘をつき、危険な薬を飲ませるのか。そこには恐ろしい真実が隠されていた。
ついにクロエは母親の隔離から逃げよう(ラン)とするが、その行く手には想像を絶する試練と新たな衝撃の真実が待ち受けていた・・・。
母親の歪んだ愛情が娘を籠の鳥のように動けなくさせ、監禁状態のようにさせてしまうスリラーです。
ヒッチコック映画のタッチに加え、スティーヴン・キング原作の『ミザリー』を彷彿させる監禁ものの恐怖が描かれます。
生まれつき慢性的な病気から歩くことができないクロエ。
彼女にとって世界は狭い自宅だけ。
それでも好奇心旺盛の彼女は努力し、地元の大学へ進学し独立しようとしております。
しかし、いくら待っても学校からの合否の通知が届きません。
さらに母親の名前の記載されたカプセルの薬の瓶を見つけるクロエ。
徐々に母親に疑念を抱くようになります。
パソコンで薬を調べようとしたところ、ネット回線が遮断されておりました。
・・・その謎のカプセルの薬の正体は?
これ以上はネタバレになるので書けませんが、とにかくテンポが良く、面白いスリラーでした。
外へ出歩く(RUN)ことのできないクロエに取って、手脚になる存在は母親だけ。
しかし、今の時代でもケータイも持たせず、まるで外部との交流を遮断するかのような鬼母の行動に寒気がいたしました。
その鬼母を演じたサラ・ポールソン。
『ミスター・ガラス』の演技が印象に残っておりますが、かなり風変わりな役柄がとても上手い女優さんですね。
オーディションでクロエ役を勝ち取ったキーラ・アレン。
とても車イスの使い方が上手いと思ったら、ご自身も実生活で車椅子を使用しているそうで、見事なまでに映画にリアリティを与えておりました。
あまりいろいろ書いてしまうと本当にネタバレになってしまうので、あまりストーリーと関係ないことを書くと、終盤登場するナースを演じた女優さんが少し木村文乃さんに似ておりました。
母親が娘を大切に思い、可愛がる。
それは、ごく普通のことなのですが、度が過ぎると歪んだ方向へ進んでしまう・・・。
これは、ヒッチコックの名作『サイコ』を連想させるところがあったと思いました。
そのためなら、邪魔になる者をも排除してしまう。
それほどグロいシーンは一切ありませんが、逆に心理的な恐怖を描き、最後まで画面にクギ付けになってしまう作りになっていたと思います。
あのような新聞記事を丁寧に閉まっていた・・・ところはツッコミどころですが、それもご愛敬と思える、とても良くできたスリラーです。
『ジョン・ウィック:コンセクエンス』と同じスタジオの映画ですが、階段落ちが好きなのかな?
最後に優しさを見せるクロエ・・・と見せかけて、もうひと波乱あるところがすばらしい!
やはり人間は怖いと思わせられる映画でした。