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『ザ・フラッシュ』

『ザ・フラッシュ』

原題:The Flash

 

2023年製作/アメリカ映画/上映時間:144分/G/2023年6月16日日本公開

 

監督:アンディ・ムスキエスティ

出演:エズラ・ミラー

   サッシャ・カジェ

   マイケル・シャノン ほか

 

DCコミックス原作のヒーローが集結した『ジャスティス・リーグ』で本格的にスクリーンに登場した地上最速のヒーロー、フラッシュを主人公に描くアクションエンタテインメントです。

過去に戻ったフラッシュが取ったある行動により、現在の世界に歪みが生じてしまいます。

 

あらすじ

 

超高速で移動する能力を持つ、フラッシュことバリー・アレンエズラ・ミラー)は、過去に戻って亡くなった母親の命を救う。彼のその行動は現在の世界に影響を及ぼし、スーパーマンらはおらず、バットマンは全くの別人になってしまう。さらにかつてスーパーマンによって倒されたはずの敵が大軍を率いて地球に押し寄せたため、フラッシュは世界を元通りにして人々を救おうとする。

シネマトゥデイより)

 

地上最速の能力を持つDCヒーロー、フラッシュが本格的な主人公を演じたアクション映画です。

監督は『IT イット “それ”が見えたら、終わり。』のアンディ・ムスキエティ

出演に『少年は残酷な弓を射る』などのエズラ・ミラーのほか、サッシャ・カジェ、マイケル・シャノンベン・アフレック、1992年の『バットマン リターンズ』でバットマンを演じたマイケル・キートンが約30年ぶりに同役に復帰。

 

Netflixにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

間違いなく昨年公開の外国映画で「観たい!」と思っていた作品トップテンに入る期待作だったので、配信開始初日に鑑賞いたしました。

早々に結論言ってしまいますが、「サイコーでした!」。

 

※本作のストーリー的なネタバレは極力控えますが、カメオ出演、さらに1978年製作、リチャード・ドナー監督、クリストファー・リーヴ主演の『スーパーマン』の核心に触れる記事になります。これからご覧になられる方はご注意を。※

 

地上最速ヒーロー“フラッシュ”は亡き母を想うあまり“過去”に遡り彼女の命を救うが、その行動が“現在”に歪みをもたらしてしまう。スーパーマンらはこの世界には存在せず、バットマンはまったくの別人に。

 

さらに、かつてスーパーマンが倒したはずの敵が大軍勢を率いて襲来、地球植民地化を始める。フラッシュは別人のバットマン、黒髪のスーパーガールとともに、世界を元に戻し人々を救おうとするが・・・。

 

近年、『スパイダーマン』や『ドクター・ストレンジ』で描かれたマルチバース=多元宇宙。

我々の住む世界とは別の宇宙(空間または世界)が存在し、別の自分などがそこにいるとされる理論物理学の仮説ですが、それを初めてコミックスで描いたのがこの『ザ・フラッシュ』の原作と言われております。

 

1978年製作の”お子様ランチ”では無い、大人も間違いなく楽しめるコンセプトで作られた初のアメコミ映画と言っていい、リチャード・ドナー監督の『スーパーマン』(第1作)。

終盤に愛するロイス・レインを救えなかったスーパーマンが地球の周りを反転し、時間軸を逆回転し、過去に戻しロイスを生き返らす(このシーンはそこまでは絶賛していた評論家もドン引きしたと酷評もありましたが)シーンがありますが、この描写はその「ザ・フラッシュ」の原作から頂戴したエピソードだそうです。

 

自分の母親が殺害され、その容疑が父親に。

両親を助けたいが故、バリーは己の持つ光を超える移動能力で過去へ行き、本来あるべきだった残酷だった現実を変えることに成功いたします。

しかし、その行動はバリーだけで無く、ほかのすべてのものをも変化させてしまいます。

 

この作品が面白いのは、ヒーロー映画としてだけで無く、映画ネタ満載のところにあると思いました。

バリーの部屋には名作『ショーシャンクの空に』のあの”重要な”ポスターが貼られていたり、自分が過去に介入してしまったが故に、未来(本来いた世界)に戻ったら、ガラリと変わっていたというところはタイムトラベルものの最高傑作と言っていい『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年・以下『BTTF』)のオマージュとも思えます。

 

その『BTTF』ネタが爆笑!

過去に行ったバリーは18歳の自分に出会います。

そこでその時代のバリーの友人に会い、『BTTF』の話しをするのですが、その友人は「エリック・ストルツ主演の『BTTF』」と言います。

エリック・ストルツは’80年代~’90年代前半に活躍したイケメンスターだったのですが、主人公に抜てされた『BTTF』では撮影6週間後、ロバート・ゼメキス監督から「コメディセンスが無い」と言われクビ。

皆さんご存じの通り、代役としてマイケル・J・フォックスが主人公を演じ映画は大ヒット。

ちなみに余談ですが、そのクビになったエリック・ストルツは1987年、青春映画の巨匠・ジョン・ヒューズ脚本の『恋しくて』(←傑作)でお母さん役だったリー・トンプソンと共演(クビにならなかった再共演)しております。

 

冒頭のシーン、病院の崩落を救えと相変わらずベン・アフレック演じるブルース・ウェインバットマンから上から目線で指図されてしまうバリーに笑ってしまいました。

「自分はジャスティス・リーグのお荷物、雑用係」と愚痴りながらも頑張る姿がいいですね。

任務を無事終え、バットマン救出に・・・向かったのはダイアナ=ワンダーウーマンの方が先。

あとからフラッシュも駆けつけ、そこでワンダーウーマンの持つ真実を話すロープ(名称忘れました)で、バリーが動程(←あえて違う漢字を当てております)という衝撃(笑撃?)の事実が発覚。

 

ジャスティス・リーグ』(どちらでも構いません)では説明が無かった、なぜバリーがこのような能力を手にすることができたのか?

その理由もちゃんと描かれております。

落雷が原因のひとつというところは、やはり『BTTF』へのオマージュ感がありました。

 

過去へ行ったバリーはスーパーマンに倒されたはずのゾッド将軍が生存していることを知り、ほかのジャスティス・リーグのメンバーを捜しますが、誰ひとりその世界には存在しておりません。

唯一、”ブルース・ウェイン”が存在することを知ったバリーは廃虚となったウェイン邸に脚を運びます。

そこには年老いた男がひとりいただけでした。

 

しかし、その男こそ紛れもないブルース・ウェインバットマンでした。

ここで『バットマン リターンズ』以来、約30年ぶりにマイケル・キートン演じるバットマンを観ることができました。

しかも、ちゃんとダニー・エルフマンのテーマ曲も使用してくれている。

もう、これだけで私的には100点満点です。

 

自分と同じくらいの世代の映画ライター高橋ヨシキ氏がYouTubeで「いろんな人がバットマンを演じてきたが、やはりオレたちのバットマンマイケル・キートンなんだよね」と話されておりましたが、まさにその通り。

あまり日本ではヒットしなかった1989年の『バットマン』を映画館に8回も脚を運んだ自分は、マイケル・キートンが「I’m BATMAN」というセリフを言ってくれただけで号泣でした。

 

サシャ・カジェ演じるスーパーガール。

この女優さんはこれがデビュー作だそうですが、予想以上にいい演技を披露していたと思いました。

 

・・・ただ私個人的には、やはりスーパーガールにはタイツでは無くスカートを穿いてもらいたかったな~と思ってしまいました。(単なるスケベ)

 

過去を変え両親を救う・・・。

それが叶うなら、ブルース・ウェインも願ったかもしれません。

しかし、マイケル・キートンブルース・ウェインはそれを逆に拒みます。

「両親を殺され、それから悪を恨み多くの敵を倒してきた。逆に辛い運命を受け入れたからこそできたことだ」というセリフはマイケル・キートンの口から出たからこその説得力があったように思いました。

 

後半、マルチバース世界らしさ全開で、多くのスーパーマンが登場します。

あの方がCGで甦ることは知っておりましたが、幻となったニコラス・ケイジ版『スーパーマン』がこんなところで観られるとはと思ってしまいました。

アメコミヒーローらしく、目からビームですね。

う~ん、ロン毛は似合っていない。

 

本作公開2ヶ月前に起こってしまったエズラ・ミラーの女性への暴行、そして逮捕。

この行為は許されるものではありませんし、あまりのタイミングの悪さに映画も全世界で興行成績も芳しく無いものになってしまいました。

 

ですが、劇中二役を演じ、コミカルからシリアスな面まで、本当に賞賛に値する演技を披露していたのは間違いありません。

映画鑑賞中は事件のことなど、すっかり忘れていたので、彼の演技を食い入るように観ておりました。

 

DCEU(DCエクステンディッド・ユニバース)は本作、そして続く本年公開の『アクアマン』2作目を持って終了いたします。

エズラ・ミラーのフラッシュ、また観たかった気もいたしますし、『アクアマン』2作目にワンダーウーマンカメオ出演していなければ、これがガル・ガドットの最後のワンダーウーマンになってしまうと思うと、切ないです。

 

本作は米エンターテイメント・ウィークリーで2023年ワースト映画4本に選出されております。

「この肥大化したDC映画の駄作は、魅力も驚きもまったくなく、きちんとしたストーリーと引き換えに、ファンサービスと絶望的なカメオのパレードが延々と続く」。

私はこの意見に真っ向から反対いたします。

多くのカメオ出演は喜びと驚きを与え、映画は大笑いさせ、そして涙も誘う本当に魅力的なものに仕上がっておりました。

日本の映画ファン、評論家も大絶賛。

ジェームズ・ガントム・クルーズスティーヴン・キングもお墨付き。

アベンジャーズ/エンドゲーム』以降のヒーロー映画では『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』と並ぶ、またはそれ以上の大傑作だと思いました。

カメオ出演の極めつけ。

観ていて「ウソだろ!」と思わず声を出してしまいました。

いろんな映画サイトなど閲覧するとネタバレ書いてあるので、この記事でもバラしてしまいますが、これから本作をご覧になられる方は絶対にここから先はスルーしてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(サングラスしているから分からないかな?そんなワケない)

ま、まさか、この方がブルース・ウェインをまた演じてくれるとは夢にも思っておりませんでした。

最高のサプライズでした。