『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』
原題:Florence Foster Jenkins
2016年製作/イギリス映画/上映時間:111分/G/2016年12月1日日本公開
監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:メリル・ストリープ
サイモン・ヘルバーグ ほか
ニューヨーク社交界の顔にしてソプラノ歌手でもあった実在の女性、フローレンス・フォスター・ジェンキンスをモデルにしたドラマです。
アカデミー賞の常連メリル・ストリープがフローレンスを演じております。
監督は『クィーン』などのスティーヴン・フリアーズ。
あらすじ
ニューヨーク社交界のトップとして華やかな毎日を送る一方、ソプラノ歌手を目指して活動しているフローレンス・フォスター・ジェンキンス(メリル・ストリープ)。しかし、その歌唱力は音痴というしかないレベルであった。夫シンクレア(ヒュー・グラント)は、マスコミを買収したり、理解者だけを集めた小規模なリサイタルを開いたりと、病を抱えながらも夢を追う彼女を支えていた。そんな中、フローレンスがカーネギーホールで歌いたいと言い始め……。
(シネマトゥデイより)
名女優のメリル・ストリープが、音痴のソプラノ歌手として知られる実在の人物フローレンス・フォスター・ジェンキンスを演じたドラマです。
絶望的な音痴であるにもかかわらずソプラノ歌手になる夢を追う彼女と、それをかなえようと奮闘する夫の姿が描かれます。
Amazonプライムビデオにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
昨日、6月22日はメリル・ストリープ、72歳のお誕生日です。
Twitterで知らせを知ったのが今日だったので、1日遅れになってしまいましたが、映画ファンとしてお祝いしないワケにはいかない大女優なので、今回は本作を選びました。
HappyBirthday!
ニューヨークの社交界で名の知られたマダム・フローレンスは、ソプラノ歌手になる夢を追い続けていたが、自分の歌唱力に致命的な欠陥があることに気づいていない。
夫のシンクレアは、愛する妻に夢を見続けさせるため、マスコミを買収して信奉者だけを集め、小さなリサイタルを開催するなどしていたが、ある日、フローレンスがカーネギーホールで歌うと言い出して・・・。
メリル・ストリープ(Meryl Streep)。
1949年5月22日、アメリカ合衆国・ニュージャージー州出身。
イエール大学演劇大学院で演技を学び、1975年ニューヨークに移り、舞台女優としてキャリアを始めます。
1976年公開の映画『タクシードライバー』のロバート・デ・ニーロの演技に刺激を受け、映画のオーディションを受けるようになります。
『キングコング』(1976)のオーディションを受けますが、某イタリアの大物プロデューサーに酷評され落選。(出演しなくて良かった気が・・・)
1977年、フレッド・ジンネマン監督の『ジュリア』で映画デビュー。
同年、ストリープが出演した舞台「桜の園」を観劇したデ・ニーロは『ディア・ハンター』(1978)の相手役に推挙。この作品で初のアカデミー賞助演女優賞にノミネート。
『クレイマー、クレイマー』(1979)でアカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。
『ソフィーの選択』(1982)でアカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。
『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(2012)で2度目のアカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。
アカデミー賞21回ノミネートは俳優としては最多記録です。
泣く子も黙る世界最高の女優さんであると思います。
ストリープが嫌いな映画ファンもいると思いますが、彼女の演技力を否定する人はいないと言える文句なしの大女優です。
私が初めて観た映画は『ディア・ハンター』。
一番好きな作品・・・となると、あまりに多くの名作に出演しているので迷いますが、イーストウッド監督の大ファンなので、『マディソン郡の橋』かな~?
これからも活躍を見続けていきたい現代最高の女優さんです。
(Wikipediaを参考にさせていただきました)
実在した音痴のソプラノ歌手フローレンス・フォスター・ジェンキンスの姿をコミカルなシーンを織り交ぜて描いた映画です。
やはり光るのはストリープの名演。
彼女は演技だけでなく歌唱力も抜群なのですが、超音痴なフローレンスを見事演じて第89回アカデミー賞で主演女優賞にノミネートされております。
梅毒と闘いながら、自らの夢を追い求める妻を献身的に支えるヒュー・グラント演じる夫のシンクレア。
彼の姿が美しくもあり、切なくもあり、そして残酷に感じました。
妻の病気のため、夜のお勤めができないにも関わらず、ここまで愛を貫き、彼女の夢だったカーネギーホールでのコンサートを実現させる姿は一見美談に感じますが、有り余る財力でもの言わせているのも事実。
フローレンスの専属のピアニストとして雇われるコズメ。
彼もシンクレアに正直に「音程を外している」と言いますが、結局はシンクレアの話術とフローレンスの熱意に負けてしまいます。
こうした周りの人たちが超音痴のソプラノ歌手・フローレンスを裸の王様、道化のようにしてしまったのは事実だと思いました。
レベッカ・ファーガソンが出演しておりましたが、もう少し見せ場が多かったら良かったのにと思ってしまいました。
SNS全盛の現在でしたらごまかしきれないものですが、残酷な現実より優しい嘘で包まれたフローレンスの人生は幸せだったと言えるかもしれません。
どんな高額な金額を提示されても応じず、正直に「音楽への冒涜」と綴った記事を書いたニューヨーク・タイムズ紙の記者は正真正銘のジャーナリストですね。
(それに対抗するべく、次回作でワシントン・ポスト紙の発行人をストリープが演じたのかは定かではありませんが)
私個人の意見ですが、CG加工のおぞましい化け猫たちがすばらしい歌唱力で唄った(ジュディ・デンチは例外)恐ろしいミュージカル映画より、超音痴のソプラノ歌手の本作の方が映画としては楽しめました。
ストリープの演技はやはり絶品ですし、ヒュー・グラントも良かったです。
アカデミー賞ノミネートの衣装もすばらしかったです。
「愛の映画」と言いたいところですが、男性のハートと下半身は別物で、しっかり旦那も不倫していたので、そこも何とも言えません・・・。
わが国が誇る迷シンガー、剛田武さん(6月15日生まれ。お祝いできなかった)も、カーネギーホールでのコンサート目指してもらいたいですね。