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『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

原題:Everything Everywhere All at Once

 

2022年製作/アメリカ映画/上映時間:139分/G/2023年3月3日日本公開

 

監督:ダニエル・クワンダニエル・シャイナート

出演:ミシェル・ヨー

   ステファニー・スー

   キー・ホイ・クァン ほか

 

『ムーンライト』、『ミッドサマー』などのA24が製作し、『スイス・アーミー・マン』などのダニエル・クワンダニエル・シャイナートが監督を務めるアクションコメディです。

本年度・第95回アカデミー賞において、作品賞ほか本年度最多の10部門11ノミネートされ、最優秀作品賞、監督賞、主演女優賞(ミシェル・ヨー)など計7部門を受賞。

 

あらすじ

 

エヴリン(ミシェル・ヨー)は優柔不断な夫ウェイモンド(キー・ホイ・クァン)と反抗期の娘、頑固な父と暮らしながら、破産寸前のコインランドリーを経営している。税金申告の締め切りが迫る中、エヴリンはウェイモンドに並行世界に連れて行かれる。そこでカンフーマスターさながらの能力に目覚めたエヴリンは、全人類の命運を懸けて巨大な悪と闘うべく立ち上がる。

シネマトゥデイより)

 

破産寸前のコインランドリーを経営している女性が、並行世界で驚異的な身体能力を得て人類を救うための闘いを繰り広げる異色のアクション・コメディです。

主人公を『グリーン・デスティニー』などのミシェル・ヨーが演じ、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』などのキー・ホイ・クァンや『ハロウィン』シリーズなどのジェイミー・リー・カーティスらが共演。

 

Netflixにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

本年度アカデミー賞受賞作品、A24作品ということで、ぜひ観たいと思っておりました。

ま、まさかここまで疲れる映画だとは・・・。

 

経営するコインランドリーは破産寸前で、ボケているのに頑固な父親と、いつまでも反抗期が終わらない娘、優しいだけで頼りにならない夫に囲まれ、頭の痛い問題だらけのエヴリン。

 

いっぱいっぱいの日々を送る彼女の前に、突如として「別の宇宙(ユニバース)から来た」という夫のウェイモンドが現れる。混乱するエヴリンに、「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ」と驚きの使命を背負わせるウェイモンド。

 

そんな“別の宇宙の夫”に言われるがまま、ワケも分からずマルチバース(並行世界)に飛び込んだ彼女は、カンフーマスターばりの身体能力を手に入れ、全人類の命運をかけた戦いに身を投じることになる・・・。

 

『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』のダニエル・シャイナート(写真右)の作品なので、かなりくだらないおバカ映画だとは思っておりましたが、想像以上でビックリ!

 

マルチバースを含む全世界を巻き込む悪との戦い・・・と銘打っていて、結局は親子のお話しと言うのは古くは『スター・ウォーズ』旧3部作(エピソード4~6)、最近では『シン・エヴァンゲリオン劇場版』と同じでした。

・・・ですが、これまでの映画の歴史で、95本しか無いアカデミー賞作品賞受賞ということを考えるとおバカ映画であろうが、親子喧嘩の話しであろうが、どうしても敷居を高くして鑑賞してしまいます。

この作品にその価値があったのか、正直考えてしまいました。

 

今でこそ多彩な人種が多くノミネートや受賞するようになったアカデミー賞ですが、ハリウッド黄金期の1940年代~’60年代前半くらいまでは、業界人による・・・と言うよりハリウッドに住む白人のアメリカ人による映画人の祭典として行われ、黒や黄色など問題外で、同じ白人でもヒッチコックのようなイギリス人ですら、つまはじきにされておりました。

 

その時代は自分生まれていなかったので、映画雑誌などの記事で知った程度の知識ですが、自分が映画ファンになって、「これは酷いアジア人差別だな」と感じたのが1988年の『ラストエンペラー』の年です。

その年最多の8部門にノミネートされ、そのすべてを受賞という快挙を成し遂げた映画ですが、な、何と俳優部門に誰ひとりノミネート無し。

後にも先にも最多ノミネート作品に俳優部門ノミネートゼロは『ラストエンペラー』だけでは無いでしょうか?

 

アカデミー賞はハリウッドに住むアメリカ人のお祭りなので、フェリーニビスコンティトリュフォー黒澤明など英語が話せない人はどんな傑作を生み出してもせいぜい外国語映画賞(現・国際長編映画賞)止まり。

本当に公平に賞が選出されているとは言えない時代が長く続きました。

 

21世紀も10年以上過ぎた近年になって、ようやく人種や言葉の壁が無くなり、そのような人たちも主要部門にノミネートされるようになりました。

それはとてもよろしいことなのですが、今度は逆に「ヘンな気の遣われ方」でオスカーがアジア系の人の手に行ってしまっているように感じて仕方ありません。

ノマドランド』の監督などなど・・・。

 

そして今日(こんにち)、ハリウッドを牛耳っていると言っていいチャイニーズマネーが影響していないとは言えません。

業界人が選ぶアカデミー賞で本作がオスカー7部門を受賞。

ですが、ハリウッドに住む外国人記者が選ぶ第80回ゴールデングローブ賞では、本作はミシェル・ヨーキー・ホイ・クァンの受賞だけにとどまっております。

 

もちろん、おバカ映画がオスカーを受賞してはいけないとは言いません。

ですが、過去、数多くの名作・感動作が作品賞を獲得できずにおりました。

ローマの休日』、『明日に向かって撃て!』、『フィールド・オブ・ドリームス』、『ショーシャンクの空に』などなど・・・。

SF映画という理由だけで嫌われた『スター・ウォーズ』や『未知との遭遇』、そして『E.T.』。

本作にもパロディ・シーンがありますが、スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』。

スコセッシ監督作品など『タクシードライバー』、『レイジング・ブル』、『グッドフェローズ』など数え切れないほど。

 

ここからはアカデミー賞関係なく感想を。

 

『ディック・ロング~』のバカバカしさは、ほどよいテイストで本当に面白かったのですが、本作はその世界観を妙な方向へ広げ過ぎてしまって、話しが分かりづらいし、面白く無かった。

 

日本の評論家も大絶賛の本作ですが、その良さがサッパリ分かりません。

それは私だけか?・・・と思っていたら、映画ファンの方も同意見が多かったです。

昨年のアカデミー賞作品賞の『コーダ あいのうた』(2022年7月28日本ブログで紹介)のレビュー平均点が4.2と高評価。

本作が3.1とあまり評価が高くありません。

 

若かりし日、”絶叫クイーン”としてホラー映画ばかりに出演していたジェイミー・リー・カーティス

オスカー受賞は「良かった」と思いますが、本当に公平に選ぶのであれば、『イニシェリン島の精霊』の妹さんの女優さんでしょう!

 

そのカーティスがミシェル・ヨーと指がソーセージになった世界で足でピアノ(ドビュッシー)を弾くシーンがあるのですが、あえて言わせていただきます。

わが国では54年前、すでに足で「ネコ踏んじゃった」を弾いていた人物が存在したことを・・・。

 

分かりづらい物語に加え、かなりお下品な下ネタ満載。

それは好み分かれるかもしれませんが、自分は観ていて不快でした。

もろ男性の○器と分かる大人のオモチャを武器に戦うシーン。

さらに気持ち悪かったのが、ミシェル・ヨーとお尻にヘンなもの突き刺した男性警官のカンフーバトルシーン。

Netflixではモザイクかけておりましたが、普段はこういうのは嫌うのですが、今回だけはお尻に突き刺さったものと前全開と考えると、モザイクかけて正解だったかもしれません。

この映画、よく日本でG指定になったな~と思ってしまいました。

 

ドラゴンボール」の低次元のバトルを見せられている感覚になり、改めて鳥山明先生の偉大さが分かりました。

ギャグ路線の走り過ぎて、カンフーを真剣に取り扱っていないように感じました。

”平行世界”、”カンフー”でも『マトリックス』とは大違い。

おでこに目玉をつけるのは天津飯を意識して?

 

カーティスは親の七光りなど言われ、ホラー映画ばかり出演の同情票があったと思うので仕方ないですが、ミシェル・ヨーの主演女優賞は自分は「それほどの演技だったかな~?」と思ってしまいました。

これも好みの問題ですが、ラジー賞最低映画賞受賞してしまった『ブロンド』の主演を務めたアナ・デ・アルマスの方が自分は好きだな。

 

グーニーズ』(1985)以降、「どこへ行っていたの?」と思ったショート・ラウンドことキー・ホイ・クァンが出演&オスカー受賞は嬉しかったですが、彼があまりに童顔なので、妻役のミシェル・ヨーがもの凄くオバさんに観えてしまいました。

 

本作が唯一ノミネートされていない主要部門の主演男優賞の『ザ・ホエール』もA24作品と聞いております。

授賞式前に相当選挙活動されたのだと思います。

 

こちらもゴールデングローブ賞では、『エルヴィス』のオースティン・バトラーと『イニシェリン島の精霊』のコリン・ファレルが受賞しております。

 

1942年製作のアカデミー賞作品賞受賞作品『カサブランカ』が大好きです。

70年経ってもこの映画の感動は薄れることはありません。

逆にこの映画は70日経ったら、全部忘れてしまいそうです。

まあ、その程度の映画です。

 

アカデミー賞のマイノリティへの偏見や差別は一見無くなったように見せかけ、相も変わらず特定のお金持ちへのイジメ、嫌がらせは続いております。

トップガン マーヴェリック』は同年アカデミー賞で音響賞のみ受賞。

トム・クルーズは主演男優賞にノミネートされず・・・。

映画ファンはみんな、トムの味方だよ。

 

ブレードランナー』に出演したジェームズ・ホンミシェル・ヨーのお父さん役で出ていたところだけ良かったです。