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『さがす』

『さがす』

 

2022年製作/日本映画/上映時間:123分/PG12/2022年1月21日日本公開

 

監督:片山慎三

出演:佐藤二朗

   伊東蒼

   清水尋也 ほか

 

『岬の兄妹』などの片山慎三が監督と脚本を手掛け、佐藤二朗を主演に迎えたヒューマン・サスペンス映画です。

一人残された娘が、突然行方をくらませた父親を探し始める姿が映し出されます。

 

あらすじ

 

原田智(佐藤二朗)は、中学生の娘・楓(伊東蒼)と大阪の下町で暮らしていた。ある日、彼は娘の楓に指名手配中の連続殺人犯を目撃したと告げ、その翌朝突然姿を消す。警察は本腰を入れて捜索してくれず、楓は自分の力で父を捜して歩く。ようやく日雇い現場に父親の名前を発見して訪ねて行くと、そこには全くの別人の若い男性がいた。

シネマトゥデイより)

 

『岬の兄妹』で高評価を受けた片山慎三が監督と脚本を手掛けたドラマです。

マメシバ』シリーズなどの佐藤二朗、『湯を沸かすほどの熱い愛』などの伊東蒼、『東京リベンジャーズ』などの清水尋也らが出演。

第26回釜山国際映画祭ニューカレンツ部門に出品。

 

Netflixにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

日本映画の順番で、あの老害監督・山田洋次作品を選び、昨今の問題発言に思いっきり文句言ってやろうと思っていたのですが、作品がAmazonプライムビデオ、Netflix両方で未見が2015年の『母と暮らせば』、それ以外だと絶対観たくない『男はつらいよ』シリーズしか無かったので、時間のムダだと思いやめ、代わりに2022年・第96回キネマ旬報日本映画ベストテン・第9位にランクインした本作を選びました。(よく分からない理由だ・・・)

監督の『岬の兄妹』は観ておりません。

 

大阪の下町で平穏に暮らす原田智と中学生の娘・楓。「お父ちゃんな、指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」。いつもの冗談だと思い、相手にしない楓。

 

しかし、その翌朝、 智は煙のように姿を消す。ひとり残された楓は孤独と不安を押し殺し、父をさがし始めるが、警察でも「大人の失踪は結末が決まっている」と相手にもされない。それでも必死に手掛かりを求めていくと、日雇い現場に父の名前があることを知る。

 

「お父ちゃん!」だが、その声に振り向いたのはまったく知らない若い男だった。失意に打ちひしがれる中、無造作に貼られた「連続殺人犯」の指名手配チラシを見る 楓。そこには日雇い現場で振り向いた若い男の顔写真があった・・・。

 

う~ん、胸クソ。

いろんな意味で観る前の期待から裏切られた映画です。

ここまでも記事でコメディでは無いことは分かっていただけたと思うのですが、佐藤二朗さんが主演で、ここまで重いとは・・・。

 

韓国ノワール(そのような言葉があったと知りませんでした)と評されているように、たしかに『パラサイト 半地下の家族』風テイストや容赦のない残虐なシーンがあります。

第26回釜山国際映画祭ニューカレンツ部門に出品され、そこでポン・ジュノ監督が本作を鑑賞したそうですが、コメントを残していないところが少し気になってしまいました。

 

極力、ネタばれはしないようにしたいと思いますが、まったく作品の本質に触れないとレビュー記事が書けませんので、これからご覧になられる方はご注意ください。

 

ある男の突然の失踪。

その男の娘が父親を捜していく末に見つけるものは・・・?

 

ある日雇い労働者が働く現場で父親の名前を見つけ出した娘・楓が目にしたものは、”名無し”と呼ばれる懸賞金300万円の連続殺人鬼だった・・・。

 

なぜ父親の名前で働いていたのか?

その真相がこのあと回想シーンとして描かれていきます。

 

ここからの展開は想像できないものの連続でした。

かなり強引と言えば強引な筋書きなので、好みが分かれるとは思いますが、もう治らない、ただ生かされているだけの病人の介護をしたことのある人間なら身につまされる気持ちになるシーンが用意されております。

 

もう自力では何もできない。

しかし生かされているので、病院に支払う医療費はかかる。

介護をする人間に大きな手間をかけさせる。

よって、介護をする人間は働けず病院に支払うお金も無くなってしまう・・・。

私の母親も死ぬ1年前から、このような状態でした。

 

しかし日本では安楽死尊厳死は認められていない。

この現実を本作は鋭くメスを入れております。

同じテーマの『いのちの停車場』(2023年6月19日本ブログで紹介)のお涙頂戴的演出とは大違いでした。

 

高齢化社会の日本において、今後このような問題は多くなると思われます。

そこに手を差し伸べるものが、あまりに意外なものだったことが、この映画の最大の衝撃と言えるかもしれません。

 

娘・楓を演じた伊東蒼さんが良かったです。

本作の前に出演した『空白』(2022年8月14日本ブログで紹介)では、物語のキーとなる万引きをして交通事故で死んでしまう中学生を演じておりました。

本作でも冒頭、万引きした父親を引き取りに来るしっかり者の娘を演じております。

な、何か万引きと縁のある役を多く演じているように思ってしまいました。(苦笑)

ですが、『万引き家族』には出演していないみたいです。

 

”名無し”と呼ばれる連続殺人鬼を演じた清水尋也さん。

自分の中では『ちはやふる』3部作のイメージが強いですが、日本映画でこのような役柄を演じる人は少しオーバーアクションになりがちなのですが、冷静沈着でなおかつ狂気に満ちたキャラクターを上手く演じていたと思います。

 

福田雄一監督作品でくだらないアドリブ・ギャグをかましている人と同じとは思えないほどリアリティのある演技を披露した佐藤二朗さんもすばらしかったです。

 

行方不明になった父親をさがす娘が見つけた本当の父親。

そのさがしだした偽り無い真実の姿。

そこに、この映画のタイトル『さがす』の意味があったと知り、日本映画お得意のセンチメンタルな要素をかなぐり捨て、残酷すぎる現実を叩きつけるところに衝撃で震えが止まりませんでした。

 

かなりグロもあり、気分が悪くなる映画なのでオススメは難しいです。

ですが、骨太の映画であることは間違いないと思います。

 

コテコテの大阪が舞台なのですが、撮影のほとんどが埼玉県だったと知ったのがエンドクレジットのときの最後のドンデン返しでした。(笑)

 

 

 

本日、9月19日はハーマイオニー・グレンジャー(「ハリー・ポッター」シリーズのキャラクター)の誕生日です。

1979年9月19日、マグルの歯科医師夫婦の間に生まれます。

・・・と、言うことで、映画でハーマイオニーを演じられたエマ・ワトソンの動画を。

(この動画、本時刻9月19日21時13分から約2時間前にアップされたホヤホヤです)

エマがバッグからいきなりお酒取り出し飲んでしまうところは映画第1作から観ている自分は少しビックリ!