『カオス・ウォーキング』
原題:Chaos Walking
2021年製作/アメリカ・カナダ・香港合作映画/上映時間:109分/G/2021年11月12日日本公開
監督:ダグ・リーマン
出演:デイジー・リドリー
マッツ・ミケルセン ほか
男性は考えや思いが“ノイズ”としてさらけ出され、女性は死に絶える星を舞台とした、パトリック・ネスの小説を原作にしたSFアドベンチャーです。
不思議な星で生まれ育った青年が地球からやってきた女性と出会い、彼女を守ろうと逃避行を繰り広げます。
監督は『ボーン・アイデンティティー』などのダグ・リーマン。
あらすじ
汚染した地球を発った人類がたどり着いた新天地“ニュー・ワールド”は、男性は考えや思いが“ノイズ”として現れ、女性は死に絶える不思議な星だった。その星で生まれ育ったトッド(トム・ホランド)は一度も女性を見たことがなかったが、あるとき地球から来た宇宙船が墜落し、生存者のヴァイオラ(デイジー・リドリー)と出会う。トッドはヴァイオラを捕らえようとする者から彼女を守ろうと決断する。
(シネマトゥデイより)
パトリック・ネスによるSF小説「混沌(カオス)の叫び」3部作の第1部「心のナイフ」を映画化した作品です。
出演は『スター・ウォーズ』シリーズのデイジー・リドリー、『スパイダーマン』シリーズのトム・ホランド、『アナザーラウンド』のマッツ・ミケルセンら。
BDにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
『007』か『最後の決闘裁判』のどちらかを観ようと思っていたのですが、すでに時刻は22:30を過ぎておりました。
そこから2時間30分超えの映画はちょっと厳しいと考え、2時間以内の映画で本作を選びました。
・・・ただ、魅力的なキャストですが、評価が低かったのが気になっておりました。
西暦 2257 年、〈ニュー・ワールド〉。そこは、汚染した地球を旅立った人類がたどり着いた〈新天地〉のはずだった。だが、男たちは頭の中の考えや心の中の想いが、〈ノイズ〉としてさらけ出されるようになり、女は死に絶えてしまう。
この星で生まれ、最も若い青年であるトッドは、一度も女性を見たことがない。ある時、地球からやって来た宇宙船が墜落し、トッドはたった一人の生存者となったヴァイオラと出会い、ひと目で恋におちる。
ヴァイオラを捕えて利用しようとする首長のプレンティスから、彼女を守ると決意するトッド。二人の逃避行の先々で、この星の驚愕の秘密が明らかになっていく・・・。
女性が死に絶えてしまった惑星で育った青年・トッドが生まれて初めて若い女性と出会い(おばちゃんならまた違った展開になっていたと思いますが)、恋心を抱きますが何も進展しないという映画でした。
原作が3部作の1作目ということは鑑賞後知りました。
2作目以降なら少しは進展があるのかもしれませんが・・・。
思考や妄想などが”ノイズ”となってダダ漏れする惑星・ニューワールド。
そこに地球からやってきた女性、ヴァイオラは一切ノイズを出しません。
鑑賞後、いろんな方のレビューを拝読いたしましたが、日本のマンガの「サトラレ」という作品にそっくり(パクリ?)との意見が多かったです。
つまらない映画ではありませんでしたが、ところどころ「・・・?」な描写や展開が。
映画全体的に低予算感が漂い、シナリオのチープさが目立つところが気になりました。
トム・ホランドがワンちゃん飼っているのですが、可愛い。
少し気になったのが、彼は生まれつき女性のいない世界で暮らしておりました。
そこに生まれて初めて女性と出会うことになるのですが、それでいきなり「好き・キスしたい」という感情を抱くかな~?と思ってしまいました。
彼にとって女性はある意味ノイズの見えない脅威な存在のような気がします。
初めてウニや牡蠣見て「美味しそう」と思うのか?・・・みたいな感じです。(ちょっと違うかな?)
彼女を利用しようとする首長から逃げる2人。
ここからカオス・ウォーキングと言いますか森林ウォーキング。
この逃避行で徐々にお互いの心が分かち合います。
・・・と言うより、トム・ホランド演じるトッドは思考がダダ漏れなので、分かち合うと言う言葉はは適切では無いかもしれません。
この逃避行劇も今ひとつパッとしないんですよね。
ロマンチックな展開にもならないですし、ハラハラ・ドキドキもありません。
馬に乗った追っ手に迫られ、目の前には河。
ヴァイオラが「私泳げないの」と言うと、都合良くそこにボート。
しかも手漕ぎなので、まったくスピード感がありません。
この追っ手のエセ牧師が典型的な悪者として描かれます。
なぜ、この惑星に牧師が存在するのかも謎です。
途中、男女が一緒に暮らす村へたどり着く2人。
この星に女性は生息しておりました。
そして、トッドは自分たちの祖先が地球から送られてきた第一波の宇宙船の残骸に到着いたします。
そこからヴァイオラのやってきた第二波の宇宙船の母船へ連絡しようとします。
そこにやってきた首長から恐るべき真実を聞かされるトッド。
ここで疑問が。
この惑星の男性の思考はノイズとして現れ、隠し事などできないはず。
それなのに、これほど重大な秘密を今まで隠し通していたこと。
トッドの育ての親(なのかな?)も泣きながら「すまん」と謝っておりましたが、もしかしてトッドくん、自分はノイズばらまいておきながら、ほかの人のノイズは全然読めなかったおバカなのかな?
デイジー・リドリーは可愛かったですね。
ですが、マッツ・ミケルセンや『ハリエット』のシンシア・エリボといった脇を固める俳優さんが無駄遣いのように思えて気の毒でした。
これまで大切に可愛がっていたワンちゃん殺されても、ヴァイオラを助けられたことで「たかが犬だ」と言い切ってしまうトッドに幻滅。
ヴァイオラも「気の毒に」と言いながら、慰めてもくれない。(いろんな意味で)
SF映画としても、ラブロマンスとしてもすべてが中途半端な感が否めない作品になってしまい、少しもったいない映画に思えました。
悪の親玉である首長とのラストバトルがあれでは・・・。
何でもかんでも考えることがすぐノイズに出まくり、正直うるさいくらいのトッドくんに、私の尊敬するリー師範のお言葉を贈りたいと思います。
「考えるな、感じるんだ」。