『ラストナイト・イン・ソーホー』
原題:Last Night in Soho
2021年製作/イギリス映画/上映時間:115分/R15+/2021年12月10日日本公開
監督:エドガー・ライト
出演:トーマシン・マッケンジー
アニャ・テイラー=ジョイ
マット・スミス ほか
ロンドンで別々の時代を生きる二人の女性の人生がシンクロするタイムリープ・スリラー映画です。
現代と1960年代のロンドンで暮らす女性たちが、夢を通して互いに共鳴し合う姿が描かれます。
監督と脚本を手掛けるのは『ベイビー・ドライバー』などのエドガー・ライト。
あらすじ
ファッションデザイナー志望のエロイーズ(トーマシン・マッケンジー)は、ロンドンのソーホーにあるデザイン専門学校に入学するが、寮生活に向かず一人暮らしをすることに。新しいアパートで暮らし始めた彼女は、1960年代のソーホーにいる夢を見る。エロイーズは夢の中で、歌手を夢見るサンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)と出会い、肉体的にも感覚的にも彼女と次第にシンクロしていく。
(シネマトゥデイより)
ファッションデザイナーを目指しロンドンへ留学した少女が1960年代のシンガー志望の女性とシンクロするタイムリープ・スリラー映画です。
『ジョジョ・ラビット』などのトーマシン・マッケンジー、ドラマ「クイーンズ・ギャンビット」などのアニャ・テイラー=ジョイ、『コレクター』などのテレンス・スタンプらが出演。
Amazonプライムビデオにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
今度こそ『イニシェリン島の精霊』を観よう・・・と思っていたのですが、昨日4月16日はアニャ様、またはアニャにゃんこと、アニャ・テイラー=ジョイ、27歳のお誕生日でした。
1日遅れになったのは知ったのが昨夜21:40だったからです。(まさに”ラストナイト・イン・神戸”です)
大急ぎで映画を鑑賞し、今、感想を書いております。
現地時間ですと本日4月17日が16日だと思いますので、まぁ、ノープロブレムということで・・・。
HappyBirthday!
ファッションデザイナーを夢見るエロイーズは、ロンドンのソーホーにあるデザイン専門学校に入学する。しかし同級生たちとの寮生活に馴染めず、街の片隅で一人暮らしを始めることに。
新居のアパートで眠りにつくと、夢の中で60年代のソーホーにいた。そこで歌手を夢見る魅惑的なサンディに出会うと、身体も感覚も彼女とシンクロしていく。夢の中の体験が現実にも影響を与え、充実した毎日を送れるようになったエロイーズは、タイムリープを繰り返すようになる。
だがある日、夢の中でサンディが殺されるところを目撃してしまう。さらに現実では謎の亡霊が現れ、徐々に精神を蝕まれるエロイーズ。果たして、殺人鬼は一体誰なのか、そして亡霊の目的とは?
アニャ・テイラー=ジョイ Anya Josephine Marie Taylor-Joy
1996年4月16日、アメリカ合衆国・フロリダ州・マイアミ生まれ。
間もなくアルゼンチンに移り、その後イギリス・ロンドンに渡ります。
14歳のとき、女優を目指しニューヨークへ。
最初はモデルの仕事をメインに活動し、2015年、イギリスBBCのドラマに出演。
同年にサンダンス映画祭で初上映され、翌年全米で公開されたロバート・エガース監督のA24製作のホラー映画『ウィッチ』(当ブログ2022年4月23日記事にしております)の演技が高い評価を得ます。
以降、モデル、女優として活躍し、2021年のNetflixドラマ「クイーンズ・ギャンビット」の演技が評価され、第78回ゴールデン・グローブ賞の「テレビの部・リミテッドシリーズ、テレビ映画」部門で女優賞を受賞しております。
(Wikipediaを参考にさせていただきました)
シャマラン監督のスリラー映画に連続出演し(当ブログ2022年7月13日、14日記事にしております)、”絶叫クイーン”などと呼ばれたこともあるそうですが、ミステリアスな雰囲気の役柄がとても似合う女優さんですね。
本当に魅力的。
このブログで一番出演作を紹介している女優さんかもしれません。
お気に入りは『ウィッチ』、『ザ・メニュー』(当ブログ2023年3月3日記事にしております)、そして本作です。
キネマ旬報の信者ではありませんが、2021年・第95回キネマ旬報の外国映画ベストテンで前回紹介の『ファーザー』の5位に次いでの6位にランクインしていたので、かなり期待していたのですが、それを上回る面白さ、そして怖さ、悲しさのあるスリラー映画でした。
近年の作品では珍しいオープニングでメインスタッフ&キャストがクレジットされているのですが、監督名うっかり見逃してしまい、ずっと女性監督の作品と思いながら観ておりました。
#MeTooが叫ばれる今の時代に相応しい「女性の自立」とその真逆を行く’60年代の「女性は男性の性の道具」のような扱いとのギャップが凄まじく感じました。
タイトルになっているソーホー地区は20世紀のロンドンの有名な風俗店が並ぶ歓楽街だったそうです。
当然そこでシンガーを夢見る女性は本来の目的では無く、男性たちの性の奴隷のような扱いを受けることになります。
「『プリティ・ウーマン』だって、そういうお仕事のヒロインでしょ?世界古参のお仕事をバカにするな」なる21世紀のレビューとは思えないものがありました。
もちろん人の解釈はそれぞれ自由だと思います。
ですが、そのような考えの方には本作は不向きなのは間違いありません。
古い例えになりますが、ド田舎から都会へ夢見てやってくるという作品はマイケル・J・フォックス主演の『摩天楼はバラ色に』を思い出してしまいます。
エドガー・ライト監督はオタクなので、宮崎駿監督の『魔女の宅急便』の悪夢ヴァージョンと言えるかもしれません。
ファッションデザイナー志望のエロイーズはふと、’60年代ソーホーにあるミュージックホールでシンガー志望の女性サンディ(アニャにゃん)と入れ替わる夢を見ます。
本当にそれは夢なのだろうか?
まるでデヴィッド・リンチの世界観のような不思議な世界と凝った映像が夢(悪夢)の舞台へ誘います・・・。
ヒッチコックやポランスキーの映画にも似た感覚があり、それらの作品がお好きな方にオススメです。
ダリオ・アルジェントへのオマージュもあり、店の名前が「インフェルノ」。
映画ファンは思わずニヤリとするシーンが盛りだくさんです。
ただ、かなり光の点滅が多めなので、敏感な方はご注意を。
鏡に映った顔が自分では無く、アニャにゃんになっているという映像(逆かな?)が多く登場いたしますが、エドガー・ライト監督はCGを一切使わず、アナログで撮影していると知り驚きました。
監督のアナログへのこだわりは随所に現れているように思いました。
CDでもスマホでも無くレコードで音楽を聴く主人公やダイヤル(運命の・・・では無い)式の電話、「今のロンドンにあるの?」と思ってしまうエロチラシが貼られている公衆電話ボックスなどなど・・・。
偶然のも同年に『プロミシング・ヤング・ウーマン』が公開されております。
「(男性のパワハラに)泣き寝入りしない女性」という共通点のある作品です。
夢を叶えられなかった女性と夢を実現した少女の物語はグロいシーン多めの作品なのですが、ラストは思わず泣きそうになってしまいました。
『ベイビー・ドライバー』同様、エドガー・ライトの作品は観客を選ぶので万人向けの作品ではありません。
ですが、幻想的な世界に映るアニャにゃんは、本当に美しかったです。
「恋のダウンタウン」という’60年代の曲が効果的に使われ、アニャにゃんが歌っている動画を貼り付けておきますので、お時間がありましたら、ぜひ。