One today is worth two tomorrow.

当ブログへ起しいただき、心から感謝いたします。映画の感想やスポーツ観戦の記事、写真中心のブログです。

『エルヴィス』

『エルヴィス』

原題:Elvis

 

2022年製作/アメリカ映画/上映時間:159分/G/2022年7月1日日本公開

 

監督:バズ・ラーマン

出演:オースティン・バトラー

   トム・ハンクス

   オリヴィア・デヨング ほか

 

「キング・オブ・ロックンロール」と称される、エルヴィス・プレスリーの半生を描いた伝記ドラマです。

監督などを手掛けるのは『ムーラン・ルージュ』などのバズ・ラーマン

本年度・第95回アカデミー賞において、作品賞、主演男優賞(オースティン・バトラー)、撮影賞、美術賞など計8部門にノミネート。

また、最低の映画に贈られる本年度・第43回ゴールデンラズベリー賞において、トム・ハンクスが最低助演男優賞を受賞。

 

あらすじ

 

1950年代、エルヴィス・プレスリー(オースティン・バトラー)は歌手としてデビューする。彼の個性的なパフォーマンスは若者たちに熱狂的な支持を受ける一方で、批判や中傷にもさらされる。やがてエルヴィスは警察の監視下に置かれた会場でライブを行うことになり、マネージャーのトム・パーカー(トム・ハンクス)が彼に忠告を与える。

シネマトゥデイより)

 

「キング・オブ・ロックンロール」と称されるエルビス・プレスリーの人生を映し出した映画です。

スターとして人気絶頂のなか若くして謎の死を遂げたプレスリーの物語を、「監獄ロック」など誰もが一度は耳にしたことのある名曲の数々にのせて描いていきます。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』などのオースティン・バトラーがエルヴィス、『プライベート・ライアン』などのトム・ハンクスがそのマネージャーにふんしております。

 

Netflixにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

本年度のアカデミー賞作品賞候補作が見放題になってきたので、「そろそろ観ておきたいな」と思い、今回は本作を選びました。

バズ・ラーマンは正直少し苦手です。

 

腰を小刻みに揺らし、つま先立ちする独特でセクシーなダンスを交えたパフォーマンスでロックを熱唱するエルビスの姿に、女性客を中心とした若者たちは興奮し、小さなライブハウスから始まった熱狂はたちまち全米に広がっていった。

 

しかし、瞬く間にスターとなった一方で、保守的な価値観しか受け入れられなかった時代に、ブラックカルチャーを取り入れたパフォーマンスは世間から非難を浴びてしまう。

 

やがて故郷メンフィスのラスウッド・パークスタジアムでライブを行うことになったエルビスだったが、会場は警察に監視され、強欲なマネージャーのトム・パーカーは、逮捕を恐れてエルビスらしいパフォーマンスを阻止しようとする。それでも自分の心に素直に従ったエルビスのライブはさらなる熱狂を生み、語り継がれるライブのひとつとなるが・・・。

 

キツネがネズミに食べられてから、ハリウッドの大手映画会社の中で一番信用を置いていたのがワーナー・ブラザースだったのですが・・・。

今回の件は本当に残念ですね。

ブラックユーモアは悪くは無いと思いますが、あれは「絶対やってはいけない」ことだったと思いました。

 

クイーンはツボでハマっていた世代でしたが、エルヴィス・プレスリーはそれほど詳しくありませんでした。

自分がアメリカのショウビジネスに関心を持つようになったときにはすでに亡くなられておりました。

アメリカ映画を観るようになって、挿入歌として使われた曲で「好きにならずにいられない」、「ラブ・ミー・テンダー」、「監獄ロック」などを知りました。

「監獄ロック」はエルヴィスと言うよりブルース・ブラザースの印象の方が強いですが・・・。

 

まず、あまり良く無かったところから。(ほとんどありませんが)

トム・ハンクスラジー賞も納得の演技。

「どうしちゃったの?」と思ってしまいました。

映画のストーリーテラーでとても重要な役柄だったのですが、ご本人やる気が無かったのかな~。

とても『ロード・トゥ・パーディション』、『ハドソン川の奇跡』と同じ人には観えませんでした。

 

ミュージシャンの伝記映画ですが、『ボヘミアン・ラプソディ』っぽいところもありますが、根本的にはまったく異なるタイプの映画だと思いました。

 

エルヴィスが生まれたのがテネシー州メンフィス。

黒人音楽の発祥の地と言われ、そこで彼は黒人たちのミサで流れる黒人霊歌(ゴスペル)に魅了されていきます。

 

その本来黒人のためのゴスペルを自己流にアレンジし、彼は白人でありながら黒人音楽を歌い続けます。

これは社会的にも問題になり、反対運動のようなものも怒ります。

 

この頃、白人の音楽であるカントリーミュージックのプロモーターだったパーカー大佐がラジオで流れたエルヴィスの歌に「これを白人が歌っているのか?」と驚き、彼の元へ訪れます。

 

プロモーターとしての手腕のあるパーカー大佐はエルヴィスとその家族との契約を取り交わし、一躍、彼の歌は全米へ響き渡ることになります。

・・・ですが、これが悲劇の始まりだったのかもしれません。

 

映画はエルヴィスの栄光とその影を映し出しているのですが、その時代背景もしっかり描かれておりました。

彼が尊敬してやまないキング牧師の暗殺、ロバート・ケネディ襲撃事件、シャロン・テート惨殺事件など、その時代のアメリカの闇、鬱の部分が少なからずエルヴィスに影響を与えてしまいます。

 

エルヴィスは世界中のファンのため、日本やヨーロッパのツアーをやりたかった。

ですが、パーカー大佐のカジノの多額の負債の補填のため、5年間ラスベガスのホテルでのコンサートしかできない状態になってしまいます。

 

自分に足枷をはめ、飛び立てなくしたパーカー大佐との関係を断ち切ろうとするエルヴィスでしたが、ネタバレになるある理由から、それができなくなり、そして最期までベガスで歌い続けることとなります。

 

彼をスターダムに押し上げたのは間違いなくパーカー大佐なのですが、彼の自由を奪ってパーカーパーカー大佐です。

エルヴィスは世界で一番売れたソロアーチストとなりました。

パーカー大佐の死に際に発する言葉から始まる物語は音楽のジャンルは違えど、サリエリモーツァルトを描いた『アマデウス』を連想させるものでした。

はたして、本当にポーカー大佐はエルヴィスにとって天使だったのか?それとも悪魔だったのか?(そんなようなタイトルのトム・ハンクスの映画がありました)

 

ボヘミアン・ラプソディ』同様、あまり本人のことを悪く描いていない作品なので、自分がイメージしていたエルヴィスと少し違う部分もありました。

 

ただ、これだけは言えると思えるものは、本来黒人のための音楽だったリズム&ブルースとゴスペルを白人の音楽のカントリーミュージックに融合させた彼の音楽は人種の壁をぶち破るもの凄いものだったのだと思い、聴いていて胸が熱くなりました。

 

エルヴィスを演じたオースティン・バトラーがすばらしかったです。

エンドクレジットは少し字が小さくて読みにくかったですが、ほとんど吹き替えなしでご本人が歌っていたようでした。

・・・ただ、先日紹介いたしました『デッド・ドント・ダイ』に出演していたそうなのですが、どこに出ていたか覚えておりませんでした。(汗)