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『エンパイア・オブ・ライト』

『エンパイア・オブ・ライト』

原題:Empire of Light

 

2022年製作/イギリス・アメリカ合作映画/上映時間:115分/PG12/2023年2月23日日本公開

 

監督:サム・メンデス

出演:オリヴィア・コールマン

   マイケル・ウォード

   コリン・ファース ほか

 

『1917 命をかけた伝令』などのサム・メンデスが監督などを手掛けるラブストーリーです。

1980年代の閑静なイギリス南岸のリゾート地の映画館で働く、辛い過去を持つ女性と夢を諦めた青年の姿が描かれます。

本年度・第80回ゴールデングローブ賞のドラマ部門において、オリヴィア・コールマンが主演女優賞に、本年度・第95回アカデミー賞において、撮影賞にノミネート。

 

あらすじ

 

1980年代初頭のイギリスの海辺の町マーゲイト。つらい過去を抱えて生きるヒラリー(オリヴィア・コールマン)は、地元にある映画館・エンパイア劇場で働いている。厳しい不況の中、ある日、夢をあきらめて映画館で働くことを決意した青年スティーヴン(マイケル・ウォード)が彼女の前に現れる。やがて彼らは心を通わせていくが、二人の前に思わぬ試練が立ちふさがる。

シネマトゥデイより)

 

『1917 命をかけた伝令』の名匠サム・メンデスが、『女王陛下のお気に入り』のオリビア・コールマンを主演に迎えて描いたヒューマンドラマです。

1980年のイギリスの映画館を舞台に、人々の絆や、そこで出会った男女の姿が映し出されます。

 

Disney+にて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

サム・メンデスがオリジナル脚本&監督、オスカー女優のオリヴィア・コールマン主演と映画ファンにはとても魅力的なものが揃っており、製作がサーチライト・ピクチャーズということもあり、かなりの期待で鑑賞したしました。

 

厳しい不況と社会不安に揺れる1980年代初頭のイギリス。海辺の町マーゲイトで地元の人々に愛されている映画館・エンパイア劇場で働くヒラリーは、つらい過去のせいで心に闇を抱えていた。

 

そんな彼女の前に、夢を諦めて映画館で働くことを決めた青年スティーヴンが現れる。過酷な現実に道を阻まれてきた彼らは、職場の仲間たちの優しさに守られながら、少しずつ心を通わせていく。

 

前向きに生きるスティーヴンとの交流を通して、生きる希望を見いだしていくヒラリーだったが・・・。

 

’80年代初頭、長引く経済の停滞により庶民の暮らしが疲弊し、黒人など弱い立場の人への差別が強まったサッチャー政権時代のイギリスを舞台に、海辺の映画館で働く心に病を抱えた女性と、新たに従業員として雇われた黒人青年の交流を描いた、心温まる映画でした。

 

ロケーションがすばらしいです。

海辺の映画館が物語の舞台ですが、観ているときはCG合成だと思っていたのですが、実際、海辺にある建物を映画館に作り直して撮影されております。

 

ブレードランナー2049』でオスカーを受賞した撮影監督、『1917 命をかけた伝令』でもメンデス監督とコンビを組んだロジャー・ディーキンスの映し出す映像の美しさに感激。

 

オリヴィア・コールマンは『女王陛下のお気に入り』、『ファーザー』に次いで、本作でも最高の演技を披露しております。

心の病を患った女性というのはメンデス監督のお母さんがモデルに描いたそうです。

 

コリン・ファースがとんでもない嫌な支配人を演じております。

英国紳士が似合う俳優ですが、こうした役も上手いですね。

 

『1917~』がメンデス監督の祖父の話し、そして続く本作が母親がモデルと個人的なものから製作されたものなのですが、どちらもメンデス監督の考えや主義、主張などが押しつけがましくなく、ごく自然体に描かれていたところは共感が持てました。

 

パワー&セクシャルハラスメントや人種差別。

今の時代にもまだ色濃く残っているものを映し出しております。

最近になって、ようやくマスゴミも批判するようになった超大手芸能事務所の故人社長のハラスメントに「彼は偉大な人」などと寝ぼけたことを言っている頭が昭和(大正?)で止まっているヲバちゃんコメンテーターは本作をご覧になられた方がよろしいかと思います。

 

そして、映画館で映画を鑑賞することへの愛が描かれております。

ここは、名作『ニュー・シネマ・パラダイス』に似ております。

ニュー・シネマ・パラダイス』はレンタルビデオやテレビによって消え去ることになった映画館を描いておりましたが、本作は今の時代、映画は劇場で無くインターネットの動画配信で鑑賞できる時代になったことへの存在価値のようなものを描いていると思いました。

 

そういう自分も(本作を含め)今は映画館に足を運ぶこと無く、すべて映画は配信で鑑賞しております。

映画館で映画を観ることが嫌いでは無いのですが、スマホが登場してから、上映中使用するマナーの悪い人が鬱陶しいことと、やはりお値段ですね。

¥2,000で1本しか観れないのと、20本以上観られる・・・となると、やはり後者を選んでしまいます。

ただ、コリン・ファースがインタビューで語られておりましたが、「大切なのは200人の人間が同じ感動を一緒に味わうこと」。

この意見には賛同いたします。

 

映像の美しさは絶品。

でも、統合失調症の女性がこんなにモテモテという筋書きには、やっぱり違和感もあります。

 

サム・メンデス監督の映画、そして映画館への愛が綴られた作品ですが、人間ドラマとして鑑賞すると、少しあっさりし過ぎていたようにも感じました。

 

エンパイア劇場で上映された1979年製作のハル・アシュビー監督の名作『チャンス』。

また観たくなりました。