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『大河への道』

『大河への道』

 

2022年製作/日本映画/上映時間:112分/G/2022年5月20日日本公開

 

監督:中西健二

出演:中井貴一

   松山ケンイチ

   北川景子 ほか

 

落語家・立川志の輔による新作落語「大河への道 伊能忠敬物語」を映画化したドラマです。

主演の中井貴一をはじめ、松山ケンイチ北川景子らキャストがそれぞれ1人2役を務め、現代を舞台に繰り広げられる大河ドラマ制作の行方と、200年前の日本地図完成に隠された感動秘話が描かれます。

 

あらすじ

 

千葉県香取市役所では町おこしのため、日本初の実測地図を作った郷土の偉人・伊能忠敬を主役にした大河ドラマの制作プロジェクトを発足させる。ところが脚本作りの途中、忠敬は地図完成前に亡くなっていたという新事実が発覚し、プロジェクトチームはパニックに陥ってしまう。一方、江戸時代の1818年。忠敬は日本地図の完成を見ることなく世を去り、弟子たちは悲しみに暮れる中、師匠の志を継いで地図を完成させるため、壮大な作戦を開始する。

シネマトゥデイより)

 

立川志の輔の落語を映画化した作品です。

主演の中井貴一が自ら企画を担当しております。

脚本は『花戦さ』などの森下佳子、監督は『花のあと』などの中西健二

 

Netflixにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

明るい日本映画を探していて、最近になって配信開始された本作を選びました。

中井貴一さんを始め、主演の3人は知っていたのですが、岸井ゆきのさんが出演しているとは知らず、これは嬉しいハプニングでした。

 

ちなみに、わたくしは”大河ドラマ”なるものを観たことがありません。

 

千葉県香取市役所では、観光促進として地元を盛り上げるために、“大河ドラマ”の開発プロジェクトが立ち上がる。主人公は伊能忠敬!そう、あの初めて日本地図を作ったことで有名な、郷土の偉人である。

 

しかし、その脚本作りの最中に、ある驚くべき事実を発見してしまう。なんと伊能忠敬は、地図完成の3年前に亡くなっていたのだ!「伊能忠敬はドラマにならない。地図を完成させてないんだ!」「え、じゃあ、誰が?」舞台は江戸の下町へー。

 

弟子たちに見守られ、伊能忠敬は日本地図の完成を見ることなく亡くなった。動かぬ師を囲んですすり泣く声が響く中、ある人物が意を決し発言する。「では、今しばらく先生には、生きていていただきましょうか・・・」。

 

忠敬の志を継いで地図を完成させるために、弟子たちによる一世一代の隠密作戦が動き出す。そこには、歴史に埋もれた物語が存在しました・・・。

 

先日の『劇場版 ルパンの娘』の中で「日本映画界にカメレオンのように役柄を演じ分ける俳優はいない」みたいなことを書いてしまいましたが、松山ケンイチさんがいらっしゃいましたね。

松山さんは幅広い役を演じ、どんな役もすばらしい演技で演じている俳優さんだと思います。

 

江戸時代にかなりの正確な日本地図を作り上げたことで知られる伊能忠敬の物語を大河ドラマに・・・と願うお膝元の香取市は、地元に住むシナリオライターに依頼しますが、そこで地図を完成させたのは伊能忠敬では無く、その意思を受け継いだ者たちと知らされます。

 

偉人の影に埋もれてしまった人たちの努力や苦労、それらにスポットライトを当てた作りはとても良かったと思いました。

 

最初は現代のシーン。

そこからシナリオライターによって真実が語られるところから江戸時代パートに移るのですが、そこに登場する人物を現代パートに出演している俳優さんが演じているところもユニークな作りだと思い楽しみました。

 

また『劇場版 ルパンの娘』の話しになってしまいますが、主演の深田恭子さんとある作品で共演した、我が神戸の誇り・北川景子さん。

そこで、何やら確執が生まれてしまい、双方の”共演NGリスト”になってしまったとのこと。

ドロンジョ様とセーラーマーズとの闘いですか?

両方の作品の共通点は「お仕置き」でしょうか・・・?(アニメの話しやろ、この「スカポンタン!」)

 

コメディという言葉より喜劇という言葉が似合う、松竹らしさがあふれた作品です。

人情的ストーリーも松竹節が現れていたように感じました。

 

ただ、岸井ゆきのさんの使われ方が少しもったいないような気がいたしました。

もう少し見せ場が欲しかったです。

西村まさ彦さんは、外さないですね。

 

映画は最近の日本映画では珍しいテレビ局製作で無い映画でしたが、それ故、かなりの低予算感が漂ってしまっておりました。

撮影時、コロナ禍のピークということも原因のひとつだと思いますが・・・。

 

お上と知事を演じた草刈正雄さん。

相変わらずのイケメンぶりでしたが、演技力は『汚れた英雄』(1982)のころから、あまり成長していないように思いました。

自分が子どもの頃、コマーシャルで「カッコいい!」と思いましたが、まあ、モデル出身でも阿部寛さんと比較してはいけませんね。

草刈さんの”復活の日”は訪れるのか・・・?と思ってしまいましたが、そもそも1度も名演したことが無いので復活もなにも無いのが切ないです。(涙)

 

中井貴一さんは企画まで担当しているので仕方ないですが、少し北川景子さんの映画での待遇が良すぎで、それは事務所への忖度なのか?それとも監督の好みなのかは分かりませんが・・・。

監督とは『花のあと』(2010)でも一緒に仕事をされております。

 

橋爪功さん演じる大河ドラマシナリオライターが「オレは悲しい結末を書いて、逆に命の重さを伝えたかったが、プロデューサーが暗い結末はダメだと言いやがり、無理矢理ハッピーエンドに変えさせられた」と愚痴るシーンがありますが、あのリドリー・スコットの名作SF映画を思い出させる、結局はプロデューサーの鶴の一声で作品の方向性は決まってしまうという皮肉が込められていたところも面白かったです。

 

映画は正直テンポはよろしくなく、単調な作りではありましたが、日本の偉人の歴史の勉強にもなりましたし、北川景子さんの美しさと中井貴一さんの円熟味を増した演技は観る価値があるように思いました。

 

アニメから観ている人間にはコスプレ劇のように観えてしまったあの実写版を黒歴史にしていないどころか、メンバーの誕生日に毎回SNSで全員揃った写真をアップしている北川景子さん、すばらしいです!

「火星にかわって折檻されたい」。