『耳をすませば』
2022年製作/日本映画/上映時間:114分/G/2022年10月14日日本公開
監督:平川雄一朗
出演:清野菜名
内田理央 ほか
スタジオジブリの人気アニメ映画の原作として知られる柊あおいのコミックを原作にした青春ラブストーリーです。
それぞれに夢を追いながら惹かれ合う少年少女の淡い恋模様を、その10年後の姿も交えながら映し出していきます。
あらすじ
本を読むことが好きな中学3年生の月島雫は、最悪な印象を抱いていたクラスメートの天沢聖司が懸命に自分の夢を追いかけている姿を目にして徐々に心惹(ひ)かれていく。対する聖司も彼女が小説家になるという夢を抱いているのを知って意識し始める。お互いに夢をかなえようと誓い合う二人だったが、それから10年が経って24歳になった雫(清野菜名)は出版社に勤めて児童小説を編集していた。いつしか小説家になるのを諦め、夢を追って海外で暮らす聖司(松坂桃李)との間に距離も生じていたが……。
(シネマトゥデイより)
柊あおいの名作漫画を、清野菜名と松坂桃李の主演で実写映画化した青春ラブストーリーです。
BDにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
どうもネット接続の調子が悪く、本作鑑賞前にDAZNでJ1リーグ観戦していたのですが、カタカタの連続。
仕方ないので、観るか観ないか迷っていて寝かせていた本作を選んでしまいました。
スタジオジブリのアニメーション映画は観ておりません。
読書が⼤好きで元気いっぱいな中学⽣の⼥の⼦・⽉島雫。彼⼥は図書貸出カードでよく⾒かける、ある名前が頭から離れなかった。”天沢聖司”、全部私よりも先に読んでる?どんなひとなんだろう。あるきっかけで“最悪の出会い”を果たした⼆⼈だが、聖司に⼤きな夢があることを知り、次第に惹かれていく雫。
聖司に背中を押され、雫も⾃分の夢を胸に抱くようになったが、ある⽇聖司から夢を叶えるためイタリアに渡ると打ち明けられ、離れ離れになってもそれぞれの夢を追いかけ、10年後また必ず会おうと誓い合う。
それから10年の時が流れた、1999年。雫は、児童書の編集者として出版社で働く傍ら夢を追い続けていたが、思うようにいかずもがいていた。もう駄⽬なのかも知れない、そんな気持ちが⼤きくなる度に、遠く離れたイタリアで奮闘する聖司を想い、⾃分を奮い⽴たせていた。
⼀⽅の聖司も順⾵満帆ではなかった。⼾惑い、もどかしい⽇々を送っていたが、そんな時の⽀えは聖司にとっても同じく雫であった。そんなある⽇、雫は仕事で⼤きなミスをしてしまい、仕事か夢のどちらを取るか選択を迫られる。答えを⾒つけに向かった先は・・・。
映画ファン誰もが口を揃えて言う、最高に胸クソ映画『ミッドサマー』。
映画ファン誰もが口を揃えて言う、令和最低日本映画『大怪獣のあとしまつ』。
自分は正直、『ミッドサマー』はそれほど胸クソ悪さを感じておりませんでした。
『大怪獣のあとしまつ』は本当に酷い映画でしたが、こちらも正直、同じ人が主演なのですが、今現在の令和最低日本映画は『記憶屋 あなたを忘れない』の方だと思っております。
最高に胸クソ映画も『記憶屋~』だと思っております。
ま、まさかエンドクレジットで、その『記憶屋~』の監督の作品と知ったとき、時すでに遅し・・・。
1995年製作のスタジオジブリのアニメーション映画『耳をすませば』はなぜか見逃してしまっておりました。
監督の近藤喜文さんはアニメーターとして、とても優秀な方で、アニメ評論家(?)の岡田斗司夫氏の話しですと、1988年の高畑勲監督の『火垂るの墓』と宮崎駿監督の『となりのトトロ』の同時上映が決まって、双方同時に製作開始となったとき、お互いで優秀なスタッフの取り合いになり、ほとんどが年長の高畑さんが確保してしまい、怒り(?)の宮崎さんは「近ちゃん(近藤喜文さん)だけは譲れない」と言い放ったそうです。
しかし、結局近藤さんも高畑監督に取られ、そのうえ当時はまだアシスタント系の仕事をしていた庵野秀明さんも高畑監督に持っていかれてしまったとのエピソードがあったそうです。
そのスタジオジブリのアニメーション映画を鑑賞されている方も、原作のファンの方も大激怒されている本作。
ほ、本当に褒めるところの無い酷い映画です。
原作では画家、アニメーション映画ではバイオリン職人を目指しているヒロイン・雫の恋人・聖司が本作ではチェリストになっております。
それは原作もアニメ映画も知らない自分には関係無かったのですが、なぜか本格的チェリストを目指しイタリアへ修行に出る・・・と言った展開に「なぜにイタリア?」と思ってしまいました。
そのイタリアの風景(?)が安っぽいCGとセットで「嗚呼、ロケ行けない予算なんだ」という哀愁が漂っておりました。
エンドクレジットでロケ地が埼玉県所沢市と知ったとき、「本当に近場で済ませちゃったんだ」と苦笑してしまいました。
アニメ映画は主題歌が「カントリーロード」だったと記憶しております。
それがなぜか本作では「翼をください」に変わっております。
イタリア(と見せかけている安っぽいセット)の広場で聖司がその「翼をください」をチェロで演奏すると、人が集まり、なぜか楽器を持った人たちも一緒に演奏。
「カントリーロード」ならオリジナルはアメリカの歌手であるジョン・デンバーの曲なので知られていてもおかしく無いですが、これはあきらかに不自然。
それに、なぜイタリアなのにみんな英語?
子役をノミネートさせたことで今年ラジー賞が謝罪しておりましたが、あえて言いたいです!
この映画の子役たちの演技は間違いなく木苺だと。
もう学芸会以下の演技を観せられては、いくら相手がガキ・・・では無くお子さまでも「貴重な時間を返してほしい」と叫びたいです。
ネコと音楽を扱うと、とんでもない化学反応の起こってしまい、信じられないほどの駄作が生まれる。
それを、本作はあのミュージカル映画同様証明してしまった感がありました。
劇中、雫の会社の先輩から「片手間でできる仕事なんて無いよ」という、とってもためになるセリフがありますが、本当に片手間で作ったような映画で、松坂桃李さんは、まさに片手間。
同じ松坂さんと音楽の映画でも『蜜蜂と遠雷』とは温度差違い過ぎます。
でも、本作でただ1人平均点以上の演技は披露しておりました。
そこは「さすが」ですね。
ヒロイン・雫を演じた清野菜名さん。
初めて観る・・・と思っておりましたら、『ユリゴコロ』にも出ていたそうです。(どこに出ていたか忘れました)
単独主演のヒロインにはちょっと力量不足かな~?
生田斗真さんの奥様というのは、今知りました。
唯一、唯一と言っていい良かったところと言えるか分かりませんが、内田理央さんはいつも通りお美しかったです。
今、日本映画だけで無く、ハリウッドでもストーリー不足が深刻な状態です。
いいオリジナルのシナリオが存在しない。
従って、結局リブートやリメイク、続編などに頼らざるを得ない状態と言えます。
本作もその1本だと思うのですが、これはやってはいけないリメイクだった気がいたしました。
誰か本当にいいオリジナルのシナリオ書ける人いないかな~?
フランク・キャプラ、ビリー・ワイルダー、ダルトン・トランボ、小津安二郎、野田高梧、黒澤明、橋本忍ほどで無いにせよ・・・。(敬称略)
1995年にアニメーション映画が製作されておりますが、本作の物語の舞台は1999年。
もうすぐ21世紀という時代とは思えないほど昭和感が映し出され、有給の取れない企業、オフィスでスパスパ喫煙、テレフォンカードなど「何なんだろう?」と思う描写の連発。
『記憶屋~』でも発揮された、この監督お得意の主人公が号泣すれば、観客は感動という勘違いが本作でも登場し、シラけてしまいました。
「翼をください」を使用した映画でしたら、ぜひ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』をご覧ください。
近藤喜文監督は1998年に他界されております。
監督がこの作品をご覧になられたら、どう思われるのでしょうか?
せめて、近藤正臣さんが足でチェロを演奏してくれたら、もう少し評価上げても良かったのですが・・・。