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『ロブスター』

『ロブスター』

原題:The Lobster

 

2015年製作/アイルランド・イギリス・ギリシャ・フランス・オランダ・アメリカ合作映画/上映時間:118分/R15+/2016年3月5日日本公開

 

監督:ヨルゴス・ランティモス

出演:コリン・ファレル

   レイチェル・ワイズ

   レア・セドゥ ほか

 

とあるホテルに集められ、45日以内にパートナーを見つけなければ動物にすると言い渡された者たちを待ち受ける運命を追う異色のロマンチックコメディです。

2015年・第68回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。

2017年・第89回アカデミー賞において、脚本賞にノミネート。

 

あらすじ

 

独身者であれば身柄を確保され、とあるホテルへと送られる世界。そこでパートナーを45日以内に見つけなければ、自身が選んだ動物に姿を変えられて森に放たれてしまう。そのホテルにシングルになったデヴィッド(コリン・ファレル)が送られ、パートナー探しを強いられることに。期限となる45日目が迫る中、彼はホテルに充満する狂気に耐え切れず独身者たちが潜んでいる森へと逃げ込む。そこで心を奪われる相手に出会って恋に落ちるが、それは独身者たちが暮らす森ではタブーだった。

シネマトゥデイより)

 

アカデミー外国語映画賞(現:国際長編映画賞)ノミネート作『籠の中の乙女』で注目を集めたギリシャヨルゴス・ランティモス監督が、自身初の英語作品で製作された異色作です。

キャストにコリン・ファレルを筆頭に、レイチェル・ワイズジョン・C・ライリー、レア・セドゥ、ベン・ウィショーなどの実力派が顔を揃えております。

 

Amazonプライムビデオにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

これは観ておきたいと思っていた映画なので、少し古いですが今回本作を選びました。

ロブスターはあまり食べたことがありません。(汗)

 

独身者は、身柄を確保されホテルに送られる。そこで45日以内にパートナーを見つけなければ、自ら選んだ動物に変えられ、森に放たれる、そんな近未来。

 

独り身になったデヴィッドもホテルに送られ、パートナーを探すことになります。しかしそこには狂気の日常が潜んでいました。

しばらくするとデヴィッドは“独り者たち”が暮らす森へと逃げ出します。そこで彼は恋に落ちますが、それは“独り者たち”のルールに反することだった・・・。

 

後にアカデミー賞作品賞、監督賞ら9部門10ノミネートされ、オリヴィア・コールマン(本作にも出演)が最優秀主演女優賞を獲得する快作『女王陛下のお気に入り』(2019)のヨルゴス・ランティモス監督作品です。

『女王陛下~』もかなりブラックな映画で観る人を選ぶと思っておりましたが、こちらはそれ以上と言っていいと思います。

 

結婚しない人間は必要ない。

同性愛でも何でもいいから(?)45日以内にカップルの相手を見つけだすこと。

それができない場合、特殊な方法で希望の動物にされてしまうという、『ミッドサマー』もビックリの理不尽ストーリーです。

 

妻に先立たれてしまったデヴィッドも伴侶を探しにやって来ます。

彼が連れているワンちゃんが彼の兄で、伴侶を見つけられず犬になってしまったという設定に、笑ってはいけないと思いつつ、笑ってしまいました。

 

そもそも人間にだけ存在する”結婚”という制度はなぜあるのだろうか?

誰かに決められて恋愛をするものではありませんし、結婚しなければいけないという理由もありません。

しかし、いい歳をした人が独りでいるといろいろあること無いこと言われてしまうのが現実です。

 

恋愛の自由(AKB48は除く?)は人間の持つ当然の権利だと思いますし、しないのもその人の自由だと思います。

それを意図的に操作してしまうシステム的なものが、知らぬ間に人間の世界に存在してしまい、自由を奪ってしまう暗黙的なルールが生まれていたように感じてしまいました。

 

レジスタンスのリーダーを演じたレア・セドゥがお綺麗でした。

 

レイチェル・ワイズも良かったですね。

 

観ている人をまったく幸せな気持ちにさせないラブストーリーなのですが、”愛”というものについては、いろいろ考えさせられるものがあったように思いました。

 

人間は独りでは生きていけない生きものかもしれません。

ですが、自己犠牲してまで他者につぎこめる愛は本当にあり得るのだろうか?

やはり自己愛がそれを上回ってしまうものなのかもしれないという皮肉が伝わる映画になっていたと思いました。

 

※少しラストの核心に触れるところがあります。これからご覧になられる方はご注意を。※

 

その自己愛を暗示させるようなラストだと自分は思いました。

盲目になってしまったデヴィッドの恋人のレイチェル・ワイズ演じる女性。

彼女と同じ道を・・・と彼はレストランでステーキ用のナイフを借り、それを持ってトイレで目に突き刺そうとします。

しかし、彼女がいくら待ってもデヴィッドは戻ってこない。

映画はここで終わるのですが、これは自分の推測ですが、デヴィッドのなりたかった動物はロブスター。

場所がレストランなので、ロブスターの料理が運ばれてくる・・・というオチが待っていたように感じました。

 

自分も好きで独身なワケではありませんが、独り者の気楽さは満喫しております。

私は貝になりたい」というドラマがありましたが、自分なら何の動物がいいかな~?

人間に食べられないものがいいかな?

 

映画ファンでも好みが激しく分かれる映画なので、オススメはしませんが、もし好きな俳優がいればご覧になられるのもいいと思います。

監督の新作は来年2024年1月26日日本公開予定です。