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『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』

原題:Indiana Jones and the Dial of Destiny

 

2023年製作/アメリカ映画/上映時間:154分/G/2023年6月30日日本公開

 

監督:ジェームズ・マンゴールド

出演:ハリソン・フォード

   フィービー・ウォーラー=ブリッジ

   マッツ・ミケルセン ほか

 

ハリソン・フォードが考古学者の冒険家を演じる、1981年から始まったシリーズの第5作目で、宇宙開発競争が盛んだった1969年を舞台に繰り広げられるアクションアドベンチャーです。

過去4作でメガホンをとったスティーヴン・スピルバーグジョージ・ルーカスとともに製作総指揮を務め、『LOGAN ローガン』、『フォードvsフェラーリ』のジェームズ・マンゴールドが監督を担当します。

 

あらすじ

 

第2次世界大戦末期。考古学者のインディ・ジョーンズハリソン・フォード)らは手にした者が神になるほどの力を秘めるダイヤル“アンティキティラ”をめぐり、ナチス・ドイツの科学者ユルゲン・フォラー(マッツ・ミケルセン)と格闘する。そして1969年、インディの前にかつての仲間であるバジル・ショーの娘ヘレナ・ショー(フィービー・ウォーラー=ブリッジ)と、フォラーが現れる。

シネマトゥデイより)

 

ハリソン・フォード演じる考古学者インディ・ジョーンズの冒険を描くアドベンチャー映画の金字塔『インディ・ジョーンズ』シリーズの前作から15年ぶりの第5作で完結編(・・・になるのかな?)です。

共演にデンマークの名優マッツ・ミケルセン、ドラマ「キリング・イヴ Killing Eve」のクリエイターとしても知られるフィービー・ウォーラー=ブリッジ。そのほか『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』、『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』にも登場したサラー役のジョン・リス=デイヴィスがカムバック。スペインの名優アントニオ・バンデラスも出演。

 

4K UltraHD Blu-rayにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

1981年、映画館に8回通った『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』からの大ファンとしては、できれば劇場で・・・と思ったのですが、やはり自宅鑑賞になりました。

Blu-ray発売当日・・・より1日前にポストに投函されておりましたので、我らがヒーロー、インディ最後の勇士をいち早く観ようと思い、今鑑賞終わりました。

 

本作だけで無く過去作についても触れます。

特に過去作はネタバレがありますので、これからシリーズご覧になられる方(そのようなお方がいれば嬉しいです)はご注意を。

 

映画ファンなら誰もが知っていることから書き始めますが、映画製作開始の発端となったのは1977年、ジョージ・ルーカスが『スター・ウォーズ』、スティーヴン・スピルバーグが『未知との遭遇』というSF映画を撮影終了し、偶然ハワイで休暇のようなものを取っていて、そこでスピルバーグが「『007』のようなアクション映画のシリーズを撮りたい」と言い、ルーカスが「それならいい企画がある」と持ちかけたのがこの考古学者の物語です。

 

ルーカスは自分が好きだった20世紀初頭のB級の連続活劇が作りたいと友人であるフィリップ・カウフマン(『ライトスタッフ』の監督)に相談しておりました。

カウフマンがクリント・イーストウッド監督&主演の『アウトロー』(1976)に参加しスケジュールが合わないため、一旦企画は停止。ルーカスは『スター・ウォーズ』に専念することに。

 

ハワイへはルーカスは『スター・ウォーズ』の大失敗を予知し、逃亡していたそうで、いざ映画が公開になると史上空前の大ヒットになります。

そうしてスピルバーグと話し合っていた、この企画が現実味をおびてきたのですが、カウフマンが正式に参加ができなくなり、代わりに『帝国の逆襲』(1980)のローレンス・カスダンがシナリオを担当。

スピルバーグが監督、ルーカスが製作総指揮として、いよいよプロジェクトがスタートいたします。

 

主人公の名前は当初はインディアナ・スミスだったのですが、ジョーンズに変更。

その考古学者を演じる俳優はできれば(予算の関係などもあり)無名の俳優を起用したいと思っていた2人にルーカスの妻、マーシアトム・セレックという俳優を推薦。

しかし、この人はテレビドラマシリーズの契約がありオファーを断ります。

主人公を演じる俳優探しに難航していたスピルバーグが『帝国の逆襲』を鑑賞し、「僕らのインディはそばにいたじゃないか」とハリソン・フォードを希望。

ルーカスは「私が彼に依存していると思われる」と反対しますが、スピルバーグの熱意に負け承諾。

 

ヒロインのマリオン・レイヴンウッド役にスピルバーグデブラ・ウィンガー(『愛と青春の旅立ち』)を希望しますが断られます。

最終的にオーディションでカレン・アレンがヒロインを演じることになります。

 

我が国、日本からゲシュタポのエージェント役で吉本興業桂文珍さんも出演・・・と言うのはウソです。

でも、あまりにそっくりなので・・・。

 

スピルバーグの前作『1941』(1979)が大失敗し、予算削減を余儀なくされての製作になりましたが、1981年映画は全米で公開されると、その年最大のヒットを記録。

1982年・第54回アカデミー賞においても、作品賞、監督賞、音楽賞など計9部門でノミネートされ、美術、視覚効果、音響編集、編集の4部門を受賞いたします。

 

日本での劇場公開は全米から半年遅れの1981年12月5日。

当然、日本でも大ヒット・・・と思われたかもしれませんが、何と大コケ。

理由はいくつかありますが、まずルーカス&スピルバーグという2人が凄い映画人という認識が当時の日本の映画ファンに薄かった。

この頃はジャッキー・チェンが大人気で、彼がアメリカ映画進出と謳った隣で上映していた『キャノンボール』という映画が爆発的ヒットとなった。

薬師丸ひろ子さんの「カ・イ・カ・ン」が流行語にもなった隣で上映していた『セーラー服と機関銃』も大ヒット。

その2作品の影に隠れひっそりとした興行となってしまいました。

 

しかし、翌1982年にスピルバーグ監督作品『E.T.』が日本でも興行記録を打ち立てる大ヒットになり、スピルバーグはスター監督にのし上がっていきます。

その次回作になった『魔宮の伝説』(1984)は『レイダース~』の4倍以上の興行成績に。

1989年公開の『最後の聖戦』では、インディの父親役にショーン・コネリーが出演。

スピルバーグたちが希望していた”007”の出演やインディのヘビ嫌いの理由、名前の秘密などが判明し、当初3部作で企画されたこのシリーズは幕を下ろすことになります。

 

・・・しかし、『最後の聖戦』から19年後、2008年に主要スタッフとハリソン・フォードが再登板したシリーズ第4作目『クリスタル・スカルの王国』が製作されます。

脚本を担当したのが『ジュラシック・パーク』、『スパイダーマン』(共に1作目)のデヴィッド・コープ

ですが、作品はヒットはいたしますが、評価は酷評の嵐で、あるアメリカの映画評論家はシリーズどころかスピルバーグ監督史上サイテー映画と称し、第29回ゴールデンラズベリー賞において、最低リメイク及び続編賞を受賞してしまいます。

 

私もシリーズ、インディアナ・ジョーンズという考古学者が大好きなので、大甘評価で「ケイト・ブランシェットが出てくれて嬉しかった」、「マリオン再登板」というところだけは評価できますが、それ以外は厳しかった。

何で4作目を作っちゃったかと言うと、ハリソン・フォードとルーカスはノリノリで作りたい、スピルバーグは「『最後の聖戦』で完結しているので作りたくない」と話されていたと聞いております。

 

ハリソン・フォードは1997年に主演した『エアフォース・ワン』以降ヒット作が無い。

ルーカスは自身は「良かれ」と思って作った『スター・ウォーズ』の新シリーズ(EP1~3)が散々の評価だったことで、もうひとつのヒット作で汚名返上を狙ったのだと思います。

あくまで推測の範囲ですが・・・。

 

・・・ですが、肝心の監督がやる気が無いのではいい映画はできないと思います。

ヒット作に困ってなかったスピルバーグはそれこそ劇中のセリフ「パートタイム」感覚で(この頃は『ミュンヘン』など重い映画を作っていたので)リラックス気分で作っちゃった感がありました。

 

内容に関しては、もう話すことは無いと思うので、それ以外で残念だったことを。

劇中、主人公の考古学者を登場人物みんな「ヘンリー」と本名で呼んでいたこと。

『最後の聖戦』でお父さんと仲直りしたので問題無いのですが、『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』というタイトルにもかかわらず、誰ひとり「インディ」と呼ばない。

分かりやすいのかにくいのかの例えで言いますと、『逆襲のシャア』という映画でアムロ・レイを始め登場人物全員がシャアのことを「キャスバル」と呼んだら違和感ハンパ無いです。

それと同じでした・・・。

Wikipediaを参考にさせていただきました)

 

では、ようやく『運命のダイヤル』の感想を。

率直に言いますと、「『クリスタル・スカルの王国』より数段良かった」と思いました。

できればスピルバーグに監督してもらいたかったですが、コロナ禍でスケジュールが大幅に遅れ、降板もやむを得なかったと思います。

代役という言葉では失礼と言えるジェームズ・マンゴールドは立派な仕事をしたと言えます。

 

脚本が『クリスタル・スカルの王国』同様、デヴィッド・コープだったのが不安要素だったのですが、後からジェームズ・マンゴールドの前作『フォードVSフェラーリ』のシナリオライターとマンゴールド自身も参加し、ヘンテコ(←失礼!)な筋書きで無かったのはGoodでした。

 

本作はぶっちゃけ「ヒーローの老い」も追求している作品のように感じました。

さすがにハリソン・フォードも撮影当時79歳。

インディも年齢には勝てず、教壇で熱弁していても『レイダース~』のときとは違い、ほとんどの生徒がシラけております。

 

そんな引退を考えていたインディの前にヘレナという女性が現れます。

彼女はインディが若き日に発見した伝説の秘宝「運命のダイヤル」の話しを持ちかけます。

 

このヘレナを演じるフィービー・ウォーラー=ブリッジという女優さんがステキでした。

ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』(2018)、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)に出演していたそうですが、どちらも覚えておりません。(汗)

 

クリスタル・スカルの王国』はほとんど使い回しだったサウンドトラックが今回は凄くいいです!

ダウンロード版はあるのですが、CDは残念ながら販売されておりません。

アカデミー賞ノミネートも狙える・・・と思ったのですが、前哨戦のゴールデングローブ賞では作曲賞ノミネートされず。(ですが、久石譲さんがノミネートされ、それは嬉しいですね)

本作のヒロインであるヘレナのテーマを紹介したいと思います。

 

スピード感ある展開で、シリーズ最長の上映時間2時間34分は、それほど長く感じませんでした。

 

アクションはやや単調でした。

『フォードVSフェラーリ』の監督だからかもしれませんが、カーチェイスばかり。

少し違うアクションシーンも欲しかったです。

 

メイキングも鑑賞いたしました。

極力CGは使わず、実際モロッコシチリアなどへロケーションに行って撮影していたそうです。

ただコロナ禍でどうしてもというシーンだけセットやCGを使っておりました。

ここは、とても良かったですね。

 

監督の『レイダース~』愛が凄く、あの雰囲気をできるだけ出したいという理由から当時は存在しなかったCGは使いたくなかったそうです。

ハリソン・フォードも「実際、実物が目の前にあると演技がしやすい」と語っておりました。

 

『最後の聖戦』以来のサラーの登場は感涙もの。

アメリカ本土でインディと会うのはシリーズ初だと思います。

 

そしてマリオンの登場。

スピルバーグが「シリーズを締めくくるのであれば、『レイダース~』に登場したマリオンとサラーは不可欠」と話されておりましたが、本当に嬉しい限りです。

あのシーンの再現には、今は亡き新宿・歌舞伎町のガラガラの映画館で何度も『レイダース~』に胸躍らされた自分は思わず涙がこぼれてしまいました。

 

タイトルになっている『運命のダイヤル』。

この”運命”が本作では「Destiny」として使われておりますが、よく映画で聴く「Fate」(アニメ「Fate/stay night」で使われております)と言われる方が多いように思います。

調べてみましたら、良い運命が「Destiny」。

悪い運命が「Fate」と言われているそうです。

 

続いて残念だったところ。

アントニオ・バンデラスの扱いがあまりに酷すぎ。

インタビューで「自分はほんのちょっとしか出ていない」と嘆いておりましたが、本当見せ場も無く気の毒でした。

シリーズ初の海底でのシーンもあっさりし過ぎで、もう少し面白味出してもらいたかったです。

 

マッツ・ミケルセンの悪役キャラクターが予想していたほどインパクトが無く薄味だったのが物足りなく感じておりました。

やはり最終章には我が国の文珍さんを・・・。(って、しつこい)

 

マッカーサーの言葉、「老兵は死なず」。

ハリソン・フォードだけで無く、スタローンやジャッキー・チェンにも当てはまりますが、老いは誰にも例外なく訪れます。

映画スターも同じです。

いつかは若い人にその座を明け渡す日が訪れてしまう・・・。

この作品は考古学者・インディアナ・ジョーンズだけで無く、ハリソン・フォードというスーパースターの花道を飾るとして観ると、最高のエンディングの作品と言えると思います。

 

・・・なのですが、『トップガン マーヴェリック』を観てしまうと、後継者に道を譲る必要は映画スターにはあらず。

とも思えてしまいます。

あのエンディングのシーンはいろんなことを想像させるものでした。

 

まだ10代前半だった自分を熱くさせてくれたヒーロー。

いつの間にか、そのヒーローの年齢より上になった自分がおります。

でも、今も、そして、これからも自分の中では、あのフェドーラ帽子と鞭の考古学者は生き続けます。

ありがとう、スピルバーグハリソン・フォード、そして・・・

「ぶちかませ、インディアナ・ジョーンズ!」。

 

 

とんでもなく長い記事になってしまいました。

最後までお付き合いいただき、心から感謝いたします。

ありがとうございました。