『今夜、世界からこの恋が消えても』
2022年製作/日本映画/上映時間:121分/G/2022年7月29日日本公開
監督:三木孝浩
出演:福本莉子
古川琴音 ほか
電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞した一条岬の小説を実写映画化したラブストーリーです。
脚本を『君は月夜に光り輝く』などの月川翔と『明け方の若者たち』などの松本花奈、監督を『くちびるに歌を』などの三木孝浩が担当しております。
あらすじ
クラスメートに促されるまま、神谷透(道枝駿佑)が日野真織(福本莉子)にうその告白をすると、彼女は本気で好きにならないことを条件に交際を承諾する。やがて互いを知るにつれ、透は本気で彼女に惹(ひ)かれるようになるが、真織は一日ごとに記憶を失ってしまう難病「前向性健忘」であることを明かす。記憶をつなぎ留めようと一日の出来事を日記に記す彼女に対し、少しでも幸福な時間を過ごしてほしいと願う透だったが、自らも重大な秘密を抱えていた。真織の幸せを守るため、透はある計画を練る。
(シネマトゥデイより)
アイドルグループ「なにわ男子」の道枝駿佑と『思い、思われ、ふり、ふられ』(実写版)の福本莉子を主演に、一条岬の同名恋愛小説を映画化した作品です。
ある時点からの記憶を失ってしまう難病「前向性健忘」を患うヒロインと、ある秘密を抱えながらも彼女を支える主人公が織り成す恋が描かれます。
・・・書くかどうか迷いましたが、共同製作に藤島ジュリーK氏のお名前が。
ですが、製作委員会には某事務所の名前はありませんでした。
Amazonプライムビデオにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
ここのところ、殺伐とした作品ばかり観ていたので、心温まる作品が観たいと思い、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』の三木孝浩監督作品なので、少し期待しての鑑賞になりました。
高校生の神谷透はクラスメイトに流されるまま、同級生の日野真織にウソの告白をします。しかし彼女は「お互い本気で好きにならないこと」を条件にその告白を受け入れ、2人は付き合うことになります。
やがて真織は、自分が前向性健忘症で、夜に眠るとその日の出来事をすべて忘れてしまうことを透に打ち明けます。彼女は毎朝、前日の日記を読み返すことでどうにか記憶をつなぎ止めていた。透はそんな真織と1日限りの恋を積み重ねていくが・・・。
(この映画に関しては、かなり甘めの評価です)
脚本が『君の膵臓をたべたい』(以下、キミスイ)の方なので、その路線一直線の王道ラブストーリーです。
「ストーリーが『キミスイ』そっくり」、「ヒロインが浜辺美波に観えた」という否定的なご意見もありましたが、わたくしの尊敬する小津安二郎監督の『晩春』も『麦秋』も似てると言えば似ているので、問題なしです。
ただ、どちらも原節子さんがヒロインでしたが。
そのヒロインを演じた福本莉子さん。
初めて・・・かと思っておりましたが、『センセイ君主』(2018)、『屍人荘の殺人』(2019)に出ていらしたそうですが、どこに出演していたのか覚えておりません。
『屍人荘~』は新日本プロレスの永田裕志が出ていたのは覚えているのですが・・・。
「ぜぁ!」。
私はてっきり、乃木坂46のメンバーの方かと思っておりましたが、東宝シンデレラガールオーディション出身の方のようです。
長澤まさみさんや美波ちゃんの後輩・・・になるのでしょうか?
東宝芸能には斉藤由紀さんという、すばらしい女優さんの先輩がおります。
女優さんとして斉藤さんを見習って、頑張ってもらいたいですね。
それ以外は見習わないこと。(笑)
ツッコミどころは正直満載です。
まず、主人公の神谷透がイジメられている同級生を守るため、イジメっこからの命令で好きでもない真織にウソの告白をするのですが、そのイジメられている少年と透の仲がそれほど親しく描かれていないので、多少不自然なものを感じてしまいます。
この神谷透という人物があまりにいい人過ぎて、驚いてしまうのですが、あまり考えたく無いのですが、これもあの事務所への忖度なのかな~とも思ってしまいました。
あの事務所の所属タレントに絶対悪役を演じさせない。
そんなものが存在していたとしたら、少し残念に思います。
GWに交通事故に遭い、前向性健忘症という難病になり、睡眠を取ってしまうと、その事故よりあとに起こったことをすべて忘れてしまう真織。
それは夜に限らず、お昼寝してしまうと同じ症状が出てしまいます。
(我が家の愛犬・リック♂です。本ブログ初紹介。よろしくお願いいたします)
ウチのリックくんも、悪さして叱っても、一晩経つと自分の都合の悪いことはスッカリ忘れるという都合のいい前向性健忘症で困っております。(苦笑)
・・・は冗談ですが、真織が前向性健忘症という難病と知ってしまってからも、透の気持ちは変わらず、忘れられた日を取り戻すよう、また新たな1日をやり直すところあたりから・・・少しずつ涙腺ウルウル状態に。
真織の親友で、2人の理解者である泉というキャラクターがとてもいいです!
彼女の存在が後半大きくなるのですが、物語に深みを与えていると感じました。
三木監督は、ヒロインを魅力的に描くことが上手く、演じる女優さんがより輝きます。
そして、本作品の福本莉子さんもとてもステキでした。
透のお姉さんを演じる松本穂香さんの「タヌキ度が増した」、また福本莉子さんも「浜辺美波には遠く及ばない」という辛口意見もありましたが、それはあまり言ってはいけない気も・・・。(本当なので・・・って、それも失礼!)
三木監督はロケーションの良さも輝くものを持っております。
『ぼくは明日~』でも京都の美しさが際立っておりました。
本作は横浜や湘南、そして鎌倉。
サッカー観戦以外でも訪れて観たいと思いました。
どんな人にもかけがえのない記憶が存在すると思います。
薄れていく、または消えてしまうものであったとしても・・・。
「泣かせ」のポイントは少し唐突過ぎるかな~と思いつつ、泉や透のお姉さんがいい人で、もうたまらず号泣😭してしまいました。
三木孝浩監督の真骨頂。
王道ラブストーリーに堪能できる、わたくしの穢れきってしまったソウルジェムも浄化できる映画で良かったと思いました。
ただ、三木監督の『TANG タング』という映画は今ひとつで途中で断念。
やはりロボット系は、富野由悠季監督に任せておいた方がいいです。