Mobile Suit Gundam Hathaway
2021年製作/日本映画/上映時間:95分/G/2021年6月11日日本公開
監督:村瀬修功
声の出演:小野賢章
諏訪部順一 ほか
「機動戦士ガンダム」の富野由悠季監督が1989~90年にかけて全3巻で出版した小説「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」をアニメーション映画化した3部作の第1部です。
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』後の世界を舞台に、地球連邦政府に反旗を翻す組織を率いる反連邦組織「マフティー」の姿が描かれます。
あらすじ
第二次ネオ・ジオン戦争(シャアの反乱)から12年後のU.C.0105。腐敗が進んだ地球連邦政府が民間人を宇宙に連行する“人狩り”を強行する中、地球連邦軍大佐ブライト・ノアの息子ハサウェイ・ノアが指揮する反地球連邦政府組織の「マフティー」は、地球連邦政府の高官を次々と暗殺していた。ノアは、アムロ・レイとシャア・アズナブルの理念と理想を参考にし、武力抵抗によって道を切り開こうと考えていた
(シネマトゥデイより)
「機動戦士ガンダム」における宇宙世紀の新たな100年を紡ぐ「UC NexT 0100」プロジェクトの第2弾で、富野由悠季の小説を原作としたアニメーション映画です。
Netflixにて鑑賞。
初めての鑑賞になります。
『逆襲のシャア』の正当な続編ということで楽しみにしていてムビチケ買っていたのですが、当初の公開予定だったのが2020年7月23日。
新型コロナウィルスの影響で公開が延期。
公開が決定したのが2021年6月11日ですが、同年3月8日から『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』が公開され、気持ちが完全にそっちへ行ってしまい、結局劇場へ脚を運べませんでした。
今回ようやく鑑賞。
ちなみにどうでもいい余談ですが、Amazonプライムビデオなどで”アン・ハサウェイ”と検索すると、なぜか必ず本作がヒットしますが、本作とアン・ハサウェイ、一切関係ありません。
第二次ネオ・ジオン戦争(シャアの反乱)の終結から12年が経過したU.C.0105・・・。
人類と宇宙世紀の未来を示すかと思われた“アクシズ・ショック”を経ても、世界は変わらず混乱状態にあり、断続的に軍事衝突が発生していました。地球連邦政府の腐敗もさらに進んでおり、上層部は地球の汚染を加速させただけでなく、強制的に民間人を宇宙へと連行する非人道的な政策「人狩り」を行っておりました。
そんな地球圏の腐敗に立ち上がったのが、「マフティー・ナビーユ・エリン」と呼ばれる人物が率いた反地球連邦政府組織「マフティー」であった。 彼らは地球連邦政府高官を次々と暗殺するという苛烈な武力行使に手を染めていたが、連邦政府への反発を強める民衆からは一定の支持を得ていました。
その「マフティー」本人を名乗り、指揮する人物こそ、かつて一年戦争にも参加した地球連邦軍士官ブライト・ノアの息子で、シャアの反乱の阻止にも参加していたハサウェイ・ノアであった。
アムロ・レイ、シャア・アズナブルの理念と理想を肌で知る彼は、ふたりの意思を宿した戦士として、武力による抵抗から道を切り拓こうと画策していたのである。だが、連邦軍大佐ケネス・スレッグと謎の美少女ギギ・アンダルシアとの出会いが、彼の運命を大きく変容させるのであった・・・。
「機動戦士ガンダム」と名のつくものは数多くありますが、自分は正直、富野由悠季監督が携わっているもの以外、それほど好きな作品は多くありません。
その富野由悠季監督作品の中でも一番好きな作品が『逆襲のシャア』(1988)。
次いで「Zガンダム」、「∀ガンダム」、「1st.(第1作)」です。
それ以外がすべて悪いとは思いませんが、”黒歴史”という言葉を世間に定着させた「∀ガンダム」でガンダムと呼ばれるすべてのMS(モビルスーツ)の戦歴は”黒歴史”といかたちで完結させたにもかかわらず、未だ新作が作られているのには、正直「∀ガンダム」にすばらしさを感じている自分には「エゴだよ、それは」(アムロ)と思ってしまいます。
これから公開になる映画に水を差すことを書いてもいけない気もいたしますが、このような作品はどうもね~。
「サンライズの人間は、プラモデルを売ることしか考えていない。だから○○すると宣言した!」(シャア)。
「・・・貴方、議長役で出演していませんでしたか?」(古谷さん)。
「サンライズへの義理から出演したが、まさに私の忌まわしい記憶だ」(池田さん)。
「私などまだマシな方だ。進藤尚美さんなど本当に悲惨だ」(池田さん)。
「情けない。福田にやられるのを見ているだけだった」(アムロ)。
・・・話しが脱線いたしましたが、本作は富野由悠季監督が1989~1990年に上梓した小説を原作にした3部作のアニメーション映画の第1部に当たりますが、映画『逆襲のシャア』の正当な続編というのでは無く、結末の異なるパラレルワールド的な小説版「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」の後日譚として執筆されております。
『逆襲のシャア』を10回以上観ている自分ですが、その小説版「ベルトーチカ・チルドレン」を読んでいないと、分かりづらいところも多い映画だった・・・というのが率直な感想です。
ストーリーはもちろん富野由悠季監督が手がけたものなので、しっかりとした筋書きにはなっていたと思います。
富野由悠季監督の「ガンダム」は”大人の”無責任”的な意味合いが込められ、「1st.」のアムロ・レイや「Z」のカミーユ・ビダンのように父親に反発する少年が描かれております。
本作のハサウェイ・ノアの父親・ブライト・ノアは「1st.」のホワイトベース艦長から、『逆襲のシャア』のラー・カイラムの艦長まで指揮しております。(『機動戦士ガンダムUC」にも登場しておりますが、この作品は富野由悠季監督関わっていないのでカウントするか悩むところ)
『逆襲のシャア』を観た限りの感想ですと、ハサウェイ・ノアという少年(当時)は父親への反発より憧れの方が強かったように思いました。
無断でラー・カイラムに乗り込んだのも父親がシャアと戦う姿を間近で見たかったのではと思います。
ですが、好きな女の子が出来て、完全に危ない厨二病になったような感じで、正直『逆襲のシャア』観た人でハサウェイ好き・・・という人はまずいないと思います。
「子供に付き合っていられるか」(アムロ)。
3部作のアニメーション映画の第1部なので、結論を急いでしまうのもあれ・・・なんですが、映画として観ると、面白味には欠けるように感じます。
富野由悠季監督が「アニメ化しないことを前提条件」として執筆した原作。
それ故、”アニメ的”で無いストーリーや登場人物と言える気がいたします。
富野由悠季監督は常々「アニメは子どもが観るもの」と口にしております。
この作品はあまりお子さま向けとは言えないストーリーや描写があります。
試写を観た富野由悠季監督が激怒し「原作に忠実過ぎる」と言い放ったそうです。
製作が決まったときは憤りは無く「楽しみにしている」と話されていたので、アニメ化そのものに否定的では無かったと思うのですが、その「アニメ化しない」前提条件の物語をもっとアニメ的なアレンジを監督は期待されたのではないかと思います。
作画は悪いとは思わなかったのですが、劇場用アニメーションというレベルで考えると同時期公開されていた『シン・エヴァ~』の足もとにも及ばない出来でした。
予告編などで話題になった古谷徹さん演じるアムロ・レイのセリフ、本当に楽しみにしていたのですが、なぜか効果音にかき消されよく聴き取れませんでした。
新キャラですが、他人の心が読める(ニュータイプ?)ギギ(の腕輪?)という少女にハサウェイ、忘れられない初恋の女の子・クェスを思い出す・・・みたいな恋愛話しには本作では行きませんでした。
1時間35分の映画で、1時間10分過ぎて、ようやくガンダム登場。
楽しみにしていたガンダム同士の対決・・・は画面が暗すぎて分かりづらい。
映像作品のイメージを具現化するイラスト表を絵コンテと言います。
開発者はウォルト・ディズニー。
富野由悠季監督はその絵コンテに関しては「日本一」と言われており、宮崎駿監督も「絵コンテでは富野には勝てない」と言っております。
1976年のテレビアニメーション「母をたずねて三千里」で、どうしても絵コンテ作りに行き詰まった高畑勲監督が富野由悠季監督に助け船を要請したということがあります。
何を言いたいかと言いますと、それくらい富野由悠季監督は登場するもののアニメーションでの「動かし方」の上手さを熟知した人なのです。
富野由悠季監督の「ガンダム」の面白さのひとつがMS戦の醍醐味。
特にMS同士の肉弾戦は迫力があります。
『逆襲のシャア』ではνガンダムがパンチでサザビーをボコるシーン。(ビームライフルやフィンファンネルではなく素手というところがいいです)
『新訳ゼータ』では宇宙空間でガンダムMk.Ⅱが回転して敵MSにキックを見舞うシーン。
これらは必見の価値があると思います。
このような迫力あるMS戦を描けるのは富野由悠季監督以外いないのかもしれません。
ですが、それにしてもあまりに動かないガンダムにガッカリ。
動かないガンダムではお台場にあったものと変わりありません。
マフティーの行いを認めてしまうとテロリズムを肯定してしまうことにもなりかねないので、判断は難しいのですが、そこまでの覚悟がハサウェイにあるようには観えない描き方だったのは残念に思いました。
これも、まあ今後の展開に期待ですね。
「続きが楽しみ」という気持ちがまったくわかなかった映画ですが、それでも始めたからには続編作るべきだと思うのですが、2021年公開され、続編の話題がミノフスキー粒子の影響か・・・2024年になっても、まったく聞こえてこず、『種』の映画など作っている始末。(←これ、宇宙世紀ガンダムじゃ無いじゃん)
大コケした別のスタジオの『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』でもちゃんと3部作作ったのですから、サンライズ、しっかりしてもらいたいです。
「貴様ほど急ぎ過ぎもしなければ、サンライズに絶望もしちゃいない!」(アムロ)。
・・・いや、急いでください。お願いします。
ヘタに富野由悠季監督が完全に書いたものをほかのアニメーターが手を出してはいけない。
そうも感じてしまう『ガンダム』でした。
そういった意味では近年の作品ではかなり好評の「水星の魔女」は少し期待して観てもいいのかな?と思いました。
Amazonプライムビデオ、Netflixにて絶賛配信中。
ヲタク以外分かりづらい記事になってしまいました。
申し訳ありませんでした。
「しかし、この記事はナンセンスだ」(シャア)。