One today is worth two tomorrow.

当ブログへ起しいただき、心から感謝いたします。映画の感想やスポーツ観戦の記事、写真中心のブログです。

『護られなかった者たちへ』

『護られなかった者たちへ』

 

2021年製作/日本映画/上映時間:134分/G/2021年10月1日日本公開

 

監督:瀬々敬久

出演:佐藤健

   阿部寛

   清原果耶 ほか

 

「さよならドビュッシー」などの中山七里の小説を原作にしたミステリードラマです。

宮城県で発生した連続殺人事件の容疑者となった青年と、彼を追う刑事の姿から日本社会が抱える格差の実態が浮き彫りになります。

 

あらすじ

 

東日本大震災から9年が経った宮城県の都市部で、被害者の全身を縛った状態で放置して餓死させるむごたらしい連続殺人事件が起こる。容疑者として捜査線上に浮かんだのは、知人を助けるために放火と傷害事件を起こし、刑期を終えて出所したばかりの利根(佐藤健)。被害者二人からある共通項を見つけ出した宮城県警の刑事・笘篠(阿部寛)は、それをもとに利根を追い詰めていく。やがて、被害者たちが餓死させられることになった驚くべき事件の真相が明らかになる。

シネマトゥデイより)

 

ベストセラー作家・中山七里の同名ミステリー小説の映画化です。

監督は『楽園』などの瀬々敬久

主演に『るろうに剣心』シリーズなどの佐藤健、『のみとり侍』などの阿部寛のほか、共演に清原果耶、倍賞美津子吉岡秀隆林遣都ら。

 

Netflixにて鑑賞。

初めての鑑賞になります。

 

本日、3月21日はゲイリー・オールドマン、66歳のお誕生日です。

そして、佐藤健さん、35歳のお誕生日でもあります。(埼玉県出身)

どちらの方の作品にするか迷いました。

ノーランアカデミー監督賞も記念して『ダークナイト』シリーズも考えましたが、やはり観ていない作品、清原果耶ちゃんも出演している佐藤健さん主演の本作を選びました。

監督が瀬々という不安もありましたが・・・。

 

おふたりとも

お誕生日おめでとうございます。

 

東日本大震災から時を経た現代の宮城県内の都市で全身を縛られたまま放置され、餓死させられるという凄惨な 連続殺人事件が発生する。被害者たちはそれぞれ善人、人格者と言われていた男たちだった。

 

宮城県警捜査一課 の笘篠誠一郎は、2つの事件からある共通項を見つけ出す。捜査線上に浮かび上がった容疑者は刑期を終えて出所したばかりの利根泰久、31歳。知人を助けるために放火、傷害事件を起こして服役していた元模範囚だった。

 

犯人の決定的な確証がつかめない中で、新たな第3の事件が起こり...。裁かれなかった罪と罰、正義が交錯した果てにあったのは、あまりに切なすぎる真実でした・・・。

 

数多くの代表作のある佐藤健さんですが、自分はやはり真っ先に思い浮かぶものは「仮面ライダー電王」になってしまいます。

平成生まれ初のライダー俳優として2007年から放映開始。

作品はシナリオライター小林靖子氏の独特の世界観、ユニークなイマジンというキャラクター、平成以降の「仮面ライダー」シリーズとしては、かなり子どもさんが楽しめる作りになっており、平成以降の「ライダー」はそれほど多くは観ておりませんが、「電王」と「空我」は別格と言っていいくらいに大好きです。

「ライダー」以外の映画では『ひとよ』(2019)がお気に入りです。

 

瀬々よ(今回も呼び捨て)、ビックリしたよ。

お前(かなりの上から目線)にしては、上出来の映画と言える、『楽園』や『糸』といったゴミとは違う映画でした。

まあ、シャマランの映画のあと・・・だったところも理由のひとつではありましたが。

 

製作が果耶ちゃんの所属のアミューズ

それが理由らしく、果耶ちゃんの役は原作では男性だったそうです。

だからだと言えますが、筋書きにかなりムリがあるのも事実です。

その理由が鑑賞後、改編のことを知り分かりました。

 

事務所のゴリ押し出演とはいえ、果耶ちゃんの演技はいつも通りすばらしく、この改編がすべて悪いとは言えないと思えるほど、「果耶ちゃんでなければ」と思わせるものも多かったです。

本作で数多くの映画賞を受賞しているのも納得。

・・・なので、できれば早々に結末が読めてしまう作りにはしないでもらいたかった。

 

3.11震災後、母親代わりになってくれる倍賞美津子さん演じるけいさんが理髪店を経営しているとき、「そんな余裕無かったよ」と言って年金を納付していなかったという理由も少し納得のいかないものでした。

 

本来生活保護を受けなければ生きていけない人は切り捨てられ、逆にその生活保護を不正に受け取っている人物の存在など、瀬々とは思えない(?)ほど鋭い切り口で今の日本をしっかり描いていたように思いました。

 

映画とまったく関係ない話しになってしまいますが、吉岡秀隆さんと倍賞美津子さんの共演というのが、何となく意味深に思えて仕方ありませんでした。

寅さん「満男、これがさくらの妹だよ」

満男「えっ、伯父さん妹二人いたんですか?」

なるセリフが映画が松竹配給だったので多少期待しちゃいましたが(するな!)当然ありませんでした。

 

何と言っても佐藤健さんの名演に尽きると思います。

どこか危険な感じがするキャラクターでありながら、母親代わりになるけいさんから「笑ったほうがいい」と言われ、少し照れたような笑みを見せるところなど、本当にすばらしい、文句なしの演技だと思いました。

 

けいさんの自宅に行った佐藤健さん演じる利根とミキがうどんを食べるシーン。

このうどんが本当に美味しそうに観えました。

こうした何気ない日常を映し出すところは松竹のお家芸

このシーンはとても良かったです。

 

このような大災害が起こってしまったとき、すべての人を助けられることは不可能と言えます。

では、何を基準に助ける人、見捨てられてしまう人を選択するのか?

 

結局、その順番として、まず社会の一番底辺にいる弱者から切り捨てられてしまいます。

そういった残酷な現実を震災、そしてコロナ禍を通したそのときだからこそ、描けていたところも評価に値するように感じました。

 

生きたまま縛りつけ餓死させる殺人事件を『セブン』のようにグロく描かなかったところは(日本映画はすぐマネしたがるのですが)良かったと思いました。

 

佐藤健さんと果耶ちゃんが話しシーンの隣のステージで踊る意味不明なダンサーのシーンなど瀬々節も健在ですが、全体的には大満足と言っていい映画になっていたと思います。

 

本当に佐藤健さんの演技の幅広さに驚かされます。

「オレの演技にお前が泣いた」。